第26章 帰郷
「いやぁ、澪さんのご飯は最高っすねぇ」
『テッサイさんが聞いたら泣くんじゃない?』
「大丈夫ですよ!うちの子が作る料理が世界一だなんてことこの世の理ですから!」
『親バカなのか本命バカなのか知らないけど、それ言ってて恥ずかしくならないの?もういい大人なのに』
「でも姫ちゃん、ボクに甘えるの好きでしょう?」
ご飯を食べる箸を止めて、真顔で彼の顔を見る。
何をそんなに浮かれているのか、やけに機嫌が良さそうだ。
『何言ってるのか分かんない…何でそんなこと断言できるの?』
「だって凄い霊子が舞ってるし、ぴょこぴょこしてるし」
言われた刹那、頭を押さえてそれを隠す。
『…ほんっと、いい性格……なんでこんなからだにしたのよ、絶対いらないでしょ』
「可愛いかなと思って♡いいじゃないすか、その髪はチャームポイントッスよ!!」
『現世ではアホ毛って言うの!分かる!?アホよほんとに、喜助さんのアホ!!』
「でもそのアホから生まれちゃったうちの姫ちゃんだから仕方ないんじゃないかな?…ってほら、また霊子…“蝶々”舞わせちゃって」
『んにゃ、!!!?』
髪を押さえるのに必死すぎてそっちをコントロールするのを忘れていた。
こ、こんな霊子だらけの世界だから仕方ないじゃない…い、一緒とか似てるとか、そういうの言ってもらえると嬉しいんだから、そんなの仕方ないに決まって…
「…嬉しそう。可愛いなぁ…でもご飯が全然進んでないですよ?霊子食べてるからお腹いっぱいとかいうのは聞きませんからね、一人前ちゃんと食べきってもらいますよ」
『……』
「そんなあからさまにしゅんてしてもダメなものはダメっす…あ、ああもうそんなチャームポイントまで萎れさせ…ダメですからね!!?」
『…ダメ?』
「う、ぐっ…し、仕方ない……その分甘いの食べさせますからね…?」
ふっ、ちょろい。
切り替えの速さは私の比じゃないけれど、それでも流石は私の主人なだけある。
これが中也なら絶対にこんな事にはならな____
『?中也…?はい、もしもし…?』
「よォ、体調は?そろそろ落ち着けたか?」
『う、うん…あっ、今ね?喜助さんとご飯食べてるの』
お前の手作り?と問う中也に、うん、と思わず笑顔になる。
「それ俺に振舞ってくれたりする?」
『勿論…!!』
なんて言って、扉を作ったのが運の尽き。
