第26章 帰郷
「じゃあやっぱり愛の力だ」
『台詞がくさいからなんか嫌』
「照れ隠しですよ」
『その気になればいつでも自分のモノにできるのにしないなんて、もの好きよね。…もしかして私のこと本当はいらないんじゃないの?卍解差し押さえるわよ?』
「それはちょっと困るなぁ、君に会うための道の完成に時間がかかってしまう」
あくまでも私を本来あるべき存在へと戻すつもりはないらしい。
まったく、もの好きな人…気まぐれっていうか、私のことしか見えてないっていうか。
「そんなことしてたら、気まぐれな“姫ちゃん”に忘れられちゃうからねぇ」
『!!!…い、ま……』
久しい愛称に目を丸くすると、何?と柔らかい表情で問われる。
…なんだ、そっくりね、私達。
そりゃそうか、元々は同じ魂から生まれた存在なんだから。
「あらら、目擦っちゃダメっスよ?腫れちゃうじゃない…」
『知ら、な…っ、…ぁ…う…ッ』
止まらない…止められない。
悲しいわけじゃないのに、全然涙が止められない。
どうしよう、泣きたいわけじゃないはずなのに、なんで?
どうして?
「ごめんね、呼んでいいかわからなくて…ずっと避けてた。……僕にしか呼んでもらえないもんね、真名だけは」
『ッ、遅い、の…っ…待たせすぎ、だから……ぁ、っ…忘れられちゃったんじゃないかって、ずっと…!』
「忘れるわけないでしょ、ほんっとに心配性なんだから。…わざわざ違う名前付けたのに、その後になって分かるだなんて思わないじゃない」
抱き寄せてから、優しく背中を撫でてくれる。
遅い…何千年待たせるつもりだったんだ、本当に。
私のこと人間にしておいて…こんな体にしておいて、そのくせ大事にする挙句、いつまでたっても私を見ない。
『っ、…とっとと結婚相手見つけなさいよ…ッ、私じゃしてあげられないんだから…』
「困ったなぁ…でも、僕君にしか興味無いから無理だと思うんですよねぇ。…あれ、これってもしかして自分にしか興味ないってことになっちゃいますかね?」
『一緒にしないで』
「すみません」
極論を言えば間違ってはいないけれど、私を独立した存在へとさせたのは紛れもなく彼自身なのだ。
『…ねえ、もう呼ばないの…?』
「んん?呼んでほしいの?…澪ちゃ『…』ごめんって。……姫ちゃん、今度こそおかえりなさい」
『……ただいま、喜助…』
