第15章 大切な人
『え、あれ…?皆帰ったんじゃ…』
「蝶、今日元気なかった理由ってさあ…もしかしてあれ?」
親指で指をさすカルマを見つけて、口も閉じられずに体が強ばる。
『違う、よ…?何言ってるのか全然分からな「俺達ちょこちょこ聞いてたんだよね、やっぱり蝶って目立つしさ?」……うん、目立つの分かってるから。巻き込んで嫌な思いさせちゃってたらごめ____』
「なんでそこで謝んの?」
返ってきた言葉にドクリと胸が高鳴った。
「俺、ちゃんと聞いてたよ?蝶が準備中に俺のこと庇ってくれてたのも、茅野ちゃんとかトウェインさん達のところで今日ずっと悩んでたのも」
『い、いやあの…それはその、ほら……あ、暑いのにやられてちょっと疲れてただけで…大丈「蝶」ッ!…中也さん……?』
中也さんに少し鋭い目を向けられて、思わず続きを言えなくなった。
違うの、中也さんがいるのに寂しくなったとか、他の子を羨ましがったとか…全部私がそもそも原因なの。
私がいけないのに、私が普通の女の子じゃないからいけないのに。
「俺はお前がこういうところで大丈夫っつうのが一番嫌いだ」
『……でも、本当になんともないから。ね?早く帰ろ、皆も早く…』
「あんたらさあ、昼間あの子に助けられといてよくもまあそんな口叩けるよねえ?何が羨ましくて妬んでんのか知らないけど、うちの子純粋すぎてなんでも間に受けちゃうんだわ…あんまこそこそ話すのやめてくれない?」
「「な…ッ、赤羽!?」」」
言うまでもなく険悪な言い合いが始まった。
こんなの一々皆が気にするような事じゃあないのに…中也さんに知られたく、ないのに。
「第一親の顔が見てみたいって、何を思ってるのか知らないけど多分びっくりすると思うよ?」
「は、はあ!?あんな変な子に親なんているはずがないでしょう!?今日だって来てなかったみたいだし、それに親がいるんなら武装探偵社みたいな仕事なんてしなくても学校に……ッ!?」
ちょっと悪いな、と言って頭を撫でてから、中也さんは私を立原に預けてスタスタと歩いていく。
「ちょっ、中原さん!?」
『え、立原…?……!?中也さんなにるすつも…ッ』
中也さんは女子生徒達の目の前まで歩いていき、立ち止まったところで見下すような目付きで言い放った。
「俺があいつの育ての親だが……何かあいつに文句でもあるか?」
