第15章 大切な人
「あ、食いついた」
「中也さんまた負けたね、スイーツに」
「今喋ったやつ出てこい、三枚におろして刺身にしてやる」
他の声は無視して、浅野君の方にキラキラとした眼差しを向ける。
『あ、甘い物…本当に!?』
「あ、ああ…そりゃあ勿論、約束だからね。何が食べたいとかはあるかい?」
『え、えっと…け、ケーキ…と、ぱ、パンケーキなんかも食べたい!!あ、後それから「蝶さんよォ?」!中也さん!中也さんは何がいいと思____ッたた!?痛…っ、ちょっ、これ本当に痛…!!』
中也さんに頭をグリグリされて、私の笑顔は消え去った。
ほ、本気だこの人。
「お前よ、今日帰ったらケーキあるっつったよなァ?ああ?俺よりケーキな上に俺とケーキより浅野とケーキですってか?いい度胸してんなぁ本当に…!!」
『いたたた…ッ、ええ!?ち、中也さんもてっきり一緒にかと思っ……い、痛いって!!!…?』
痛みが無くなったところで中也さんの方に目をやると、中也さんは目を丸くして私の方に向けていた。
「え…いや、あの約束どう見てもお前、浅野に誘われて……」
『誘……?』
「………ドンマイだな浅野、手前、蝶には一ミリも伝わっちゃいなかったらしいぜ。俺もよくされてはいるが…なんなら手前にも一つ何か食わせてやるよ、蝶の分は俺が出す……小遣いは大事にしろ」
「な、中原さん?一ミリもって……!?し、白石さん、君この賭けをなんだと思っていたんだい!?」
『え、勝ったら浅野君が美味しいケーキ屋さん教えてくれるのかと…そしたらまた中也さんも一緒に食べれるもんね♡』
「「「「うわぁ、ドンマイ浅野…」」」」
頭を手で押さえてグラ、とふらつく浅野君。
『ねーねー、中也さんは何が食べたい??』
「阿呆、今日お前の誕生日だろうが」
「「「「誕生日!!!?」」」」
『じゃあ私はねえ……中也さんが欲しい♡』
「絶対言うと思ったわそれ、お前誕生日くらいもっといいもん強請『中也さん以上に何があるの??』…お前今浅野の目の前で言ってやるなよそういう事を…」
苦笑いになる中也さんにん〜?と顔を近付けると、耳が少し赤く染まっていた。
『………あれ!?もしかして浅野君、中也さん無しで私だけケーキ食べに誘ってくれてたの!?そうだよね、じゃないとお小遣い足りなくなるよね!?』
「「「「今かよ!!!!」」」」
