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第15章 大切な人


「誕生日で年取ったのに、えらく子供らしくなったじゃねえか?」

『…だって寂しかったんだもん。今日に限って中也さんからメールもないし、電話も一通もなかったし……皆して、今日は中也さんは?って』

「皆して?…まあ、仕事が片付いてりゃ昨日の夜からでも場所取りくれえはしてただろうな」

『へ…?な、んで……?』

管を繋がれた状態で、本校舎の保健室で中也さんと向かい合って横になる。
輸血という行為自体は苦痛なはずなのに、いつの間にか中也さんと二人でいられるこの時間は、素直な気持ちをぶつけられる時間となっていた。

「なんでって当たり前だろ、お前を見に来てえからだよ。……じゃねえと俺が他の奴に手伝ってもらってまでこんなに急いで仕事片付けて来ねえっつの」

『私を……?…!そういえばさっきも芥川さんって…』

「……ああ、Aの野郎の組織の残党だ。中でもあいつに忠実だった野郎共がお前を狙ってるっつう情報が入ってな。それで色々と捜索してて…さっきの奴で最後だったんだよ。本当にお前が生きててくれてよかった」

『…そ、なんだ………中也さんはいっつもそう言ってくれるよね』

「何がだ?」

『………私にいっつもこういう時に、生きててくれてよかったって。私の事知ってるのにそうやって…今までこんな風に深く誰かと接してきたことなんて無かったから、本当はあったのかもしれないけど、こんな風に言ってくれるの中也さんくらいしか知らないの』

中也さんの手に指を絡めて、自分の存在を確認するように握ったり力を緩めたりを繰り返す。

「…お前たまに本当、無垢な顔してやってくれるよな……俺は何回でも言い続けるぞ、生きててくれてよかったって。お前が死んじまったら俺はまともに生きていける気がしねえ」

『……蝶の事、好き?』

「勿論」

『……………じゃあ、私の事…好き?』

「愛してる」

『…それって、どっちの愛してる?』

「……両方…全部」

『中也さんらしいや…』

さっきまでの寂しさが嘘みたいに、幸せだ。
そうだね、別に変な事なんて無いんだよね。

私も誰かに見て欲しかった……ううん、一番貴方に見て欲しかった。

周りが羨ましかったのも少し妬ましかったのも、私にはそれが無いと思っていたから。

『………中也さん、誕生日の我儘…いいですか?』

「どうぞ?」

『写真、欲しいです……中也さんの』
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