第15章 大切な人
椅子に座らせて貰って、右脚は中也さんの異能で力を抜いても浮かせていられる。
これでさっきまであんまり痛くなかったのかな。
やっぱり中也さんはすごいや、そんなところまで私を見てくれてるなんて。
「お前が自分の怪我なんか、正直にその度合いを伝えるはずがねえもんなァ?お前今日誕生日じゃなかったら俺多分怒鳴りつけてでも怒ってんぞ今」
『……ごめん、なさい』
「…何が悪かったのか分かってんならいい。けどお前、危なかったって事だけ覚えてろ…貧血も来てんだろ?それ。なんで能力使ってでも移動しなかったんだよ?」
『ッ…………怖、かった。…中也さん、いないとこで…知らない大人ばっかのとこで、能力使うの…怖かった…っ』
考えただけでも涙がポロポロ零れてくる。
怖かった、本当にただそれだけだった。
また白い目を向けられる…また、私が殺される。
ただでさえ目立つ私の容姿は、恐らく誰が見ても異形なもの。
たまに頭のおかしい人がいて、そういう人は私を綺麗だと言うけれど…
この姿を見て、この能力を目の当たりにした一番最初の…世間一般で言う親という存在は、私を否定して、私の中の私を殺して育ててきた。
ううん、私が勝手に育ってしまった。
私の能力は、誰がどう見ても気持ち悪いと思うような能力であると思うから。
他の人達のものとも違って、私のこれは異能力ですら無いのだから。
「知らねえってお前…こいつらもE組の奴らもいただろ?なんでそんな…『私の親は中也さんだけだもの…ッ、中也さん、だけ…で…っ』あー分かった!泣け泣け、分かったよ俺がいねえと怖いんだよな!ほら、もう怖くねえだろ!」
よしよしと頭を撫で回すその手に少し安心するのと同時に、やっぱり中也さんは去年より前の記憶は無いんだなと確信した。
私の親の話をしたのは本当に出逢って間もない頃。
だから、多分覚えてはいないはず。
だけど、それでもこの人は私を安心させるために手段は厭わない人らしい。
優しさが、暖かさが伝わってくる。
『ふええ…っ、中也さんん…ッ』
「何なんだよ今日は!?お前がこんな甘えてくるなんざ滅多に無かったじゃねえか!?」
『…っ、寂しかったぁ……!!!』
「!!……目、擦んなっつってんだろ…ったく、今日は本当泣き虫だな」
またちゃんと話そう、なんでもちゃんと聞いてやるから。
私は本当に幸せ者だ
