第15章 大切な人
私の言葉にその場がピシッと凍りついた。
「お、おま…っ人前で何を……!?」
「し、白石さん……それは本当に…って結婚……そ、そちらの怪し…そちらの方のご年齢は?見たところお若く見え……るのですが」
「ああ!?手前喧嘩売ってやがんのか!?」
中也さん、誰も中也さんの身長の事には触れてないよ。
どっちかっていうと童顔の方に触れてるだけだから。
「ひッ!?い、いや育ての…なのに交際ということで…」
しかしここでその先生に助け舟を出したのは、意外な…というよりはまあまあ納得のいく人物だった。
浅野さんだ。
「先生…これはいったいどういう状況ですか?テントが突然大破したかと思えば……!中原さん?」
「!浅野さん!!すまねえ、ついここのテントを…弁償か買い替えで済ましてくれるとありがてえんだが……」
「り、理事長のお知り合い…!?」
「…弁償など結構ですよ、先程白石さんには大勢の身を守っていただいたばかりです。…それより…うちの教員が失礼しました、不審者扱いなどとんでもない非礼を」
中也さんに向かって頭を下げる浅野さん。
そ、そんなに思い詰めることなのかこれは?
いやこの人すっごい真面目そうだから仕方ない…のか?
「いや、疑いが晴れたんならそれでいい。それにテントの件もあるしな」
『……ねえねえ、私そろそろ中也さんと二人になりたいんだけど?』
「……何度もすまねえが浅野さん、うちの蝶が駄々こね始めたんでこのあたりで。また挨拶に伺います」
『ちょっ、駄々こねたとか人聞き悪い言い方やめ「うるせえよ、こちとら失礼承知でお前の我儘聞いてんだ、今日はマジで全部聞くからな」…………じゃあ結こ「それ以外」…ケチ、ケチ中也、略してけ中…や…ッ!!?』
歩きながら、軽々と私を持ち上げてそのまま横抱きにして抱え直した中也さん。
酷く黒々しいオーラを放ちながら、素晴らしくかっこいい笑みを浮かべて私を見る。
「可愛いなあお前、こういう時には俺の事呼び捨てで呼べるとか本当可愛いわ」
『ご、めんなさ…ッッ!?こ、これ恥ずかしいからやだ!!!おんぶの方がい「蝶さん本当可愛いわ、これでこのまま近付いたらもっと可愛い顔してくれんもんなお前?」ひゃぁッッ!!!?』
中也さんに顔を覗き込まれて、思わずギュッと目を瞑る。
すると一瞬だけ唇に何かが触れ、すぐにそれは離れた。
