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第15章 大切な人


中也さんの首元に腕を回し返し、酷い顔を見せないように顔を隠す。

『…なんで覚えてたの…お仕事、忙しかったでしょう……?』

「阿呆、親が忘れるわけねえだろうが。俺はお前の交際相手の前に親だぞ親、父親だか母親だかは怪しいところもあるけどな」

『!………お、や…?』

「……お前の事が可愛くて可愛くて仕方なくて、この世で一番好きな奴。…親が嫌なら家族にしとけ、養ってるとかそういうもんは後から勝手についてくるもんだ。一緒にいて、一番大事に思う奴が家族ってもんだろ」

驚く程にすっと心の中に響いてきた。
そっか、こういう時に見に来てるのがとか、そういうものともまた別なんだ。

そっか、親だからとか、そういうんじゃないんだ。

『…中也さんが親なら、私世界一の幸せ者だね……っ、そっか、私、家族でいいんだ…中也さんの家族でも、いいんだ…』

「莫迦、いいも何ももうとっくになってんだろうが…お前、これの意味ちゃんと分かってんのか?」

『え……ッ?…!』

中也さんは私の首元から指輪を取り出して私に見せる。
それが何を意味してるのか、今、初めて身に染みて理解した。

「俺はとっくにこういう家族だと思ってたんだが…」

『…中也さん、好きって言って?』

「ああ?…好きだ、蝶」

『!!な、前…とかいらな「蝶、大好きだぞ」だ、だからそういう言い方じゃ…っ』

もう一度蝶、と呼ばれて目を合わせられ、声をグッと飲み込んだ。

「……ちゃんとこっち向け」

『…っ、は…い……ッ』

「…ぷっ、ひっでえ顔………愛してる」

『へ……ッ、あ…あ、れ?……な、なんか…あれ、なんでだろ……中也さんにまた泣かされちゃった、私…』

人聞き悪い言い方すんなよ、と苦笑しながら涙を指で拭われる。

あ、手袋外してる…外してくれてる。

「……ったく、泣き虫は相変わらずだな。…まあ今回のは嬉し泣きだろうからいいとして……お前、俺に何か今隠してる事あんだろ」

『へっ?』

「…………いい度胸じゃねえか、言わねえってんなら今すぐグラウンドに出て公開キ『わ、分かった!!分かりました、!!!』…ほら、言え」

『…脚、変な捻り方しました』

「後は?」

嘘はつくなよと目で言われている気がする。
ううん、それどころか多分もう気付かれてる。

『……………ちょっと、しんどいのと…寒い、です』
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