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第15章 大切な人


与謝野先生の声を遮って、続きは声にはさせなかった。
そんな事に触れなくていい、ただでさえ磯貝君の退学がかかってたこんな時に、そんな事のために気を散らさせなくっていい。

「……今日、電話の一通でもあったのかい?」

『…今日だけ、無い』

「!本当に珍しいねえ、あんな男が…電話してみればいいじゃないか」

『中也さんのお仕事の邪魔しちゃうから』

「ああもう、本当こういう時頑固になるねあんたは…今日くらいいいんじゃないの」

『……こっちに気を取られて中也さんに何かあるよりよっぽどいい』

なんだかまた一人になりたくて、棒倒しの最中だけれどその場を立って歩いて移動した。
ごめんなさい、私情で勝手な行動して。

仕方ないから、一人になるしかないじゃない。
…ああ、そっか。それで中也さん、お弁当までわざわざ作ってくれたのかな。

私が寂しがるんじゃないかって。

それで皆も来てくれたのかな。
トウェインさん達も、探偵社の皆も。

『…………お弁当なんて作ってくれなくていいから、電話で声だけでも聞かせてくれれば良かったのに』

なんて醜い本音だろう。
今日という日でなかったならば、確かにここまで親だなんていうものを意識することもなかったのかもしれない。

あーあ、子供だな私…中也さんにこんな事で迷惑だけはかけちゃダメだよ。

フラリと倒れ込むようにテントの柱に背を預け、目立たない位置で座り込む。
やだなあ、貧血とかになるから余計に寂しくなっちゃうじゃん。
こういう時、この世界に来てからはずっと中也さんと一緒だったのになぁ。

脚が痛くて壁を消せば、それはそれでまた脚の痛みも酷くなる。
今日はつくづくツイてない。

いや、こんな事を思うのは罰当たりかな。

グラウンドの方を見ると、喜びあっている皆の顔。
ああ、勝ったんだ、良かった…なんてどこかで思ったりなんかして。

ああ……でもやっぱりツイてないって。

どこからかは分からないけれど、私の頭上を狙って銃弾が放たれた。
火薬の匂いが鼻を掠める中、頭上でグラリと音を立てて金具の外れる音がする。

『…待ってよ、今はダメだって……』

下手に能力も使えないし…脚、痛いし。

テントの中の道具諸共、私を目掛けて倒れてくる。
これ痛いやつだ、下手すれば死ねちゃうやつ。

ほんとツイてない。






今日私…誕生日なのになあ。
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