第15章 大切な人
お弁当食べてる時はあんなにも幸せだったのに、なんでこうもすぐに嫌な気持ちになるんだろう。
何も考えずに体を動かして、どこか自分とは違う自分を動かしているような気分になりながら取り繕って。
おかしいな、中也さんとたかだか二日三日顔合わせてないだけでこんなに病むことなんて今までなかったはずなのに。
そうだよ、たった数日の話じゃない。
中也さんのことだ、きっとまた張り切りすぎて、一週間もせずにまた会える。
私の事が心配でとか言って、どうせすぐにまた帰ってくる。
毎日帰ってきてはくれてるのだろうけれど、寝ないと私の身体を中也さんが心配しちゃうから、結局中也さんとは会えてない。
棒倒しの方の最終調整は数日前に終わらせて、磯貝君にも何かを必死に教えていたようだったし…
中也さんと会えるまでの我慢だもん、それまで人の噂や話くらいで騒いだりなんてしなくていい。
あの人が戻ってきてから、いっぱいまた甘えて…
……待ってよ、なんでちょっと寂しいの、私。
なんで、やっぱり羨ましいの。
お母さんって…お父さんって、何なの。
私の見た目はどうしてこんななの。
なんで、こんな能力を持って生まれたの。
贅沢すぎる悩みだろうか?
こんな能力を持っている事を、寧ろ羨ましがられるだろうか?
私からしてみれば、普通の身体が欲しかった。
普通の…
考えれば考えるほどに、私の中からあの人がどんどん見えなくなっていく。
周りの声に影響されて、どんどん何も分からなくなっていく。
いっその事、もうこんな所から逃げて今すぐにでも中也さんのところに行ってしまおうか。
いや、それはダメだ、あの人の仕事の邪魔になる。
……分かんないよ、今までこんなに考えた事なんてなかったんだから。
分かんないよ、どうしたらこの気持ちから解放されるのか。
中也さんがいないと、私一人じゃなんにも分かんないよ。
「あ!!棒が……ってあそこ結構人いるよ!!?避けて!!!!」
『え…』
いっその事、この倒れてくる棒倒し用の巨大な棒にでも敷かれてしまえばいいんじゃないか。
ああ、だめだ……私、自分じゃもう死ねないんだった。
棒倒し用の棒がここまで傾いてきていれば、重さに敵わずこっちがやられてしまう可能性がある。
かといって避ければ、それはそれで避けきれなさそうな人がいっぱい後ろにもいた。
優先順位はそっちでしょ
