第15章 大切な人
『ごめんなさい浅野さん……ッッ!!!』
「「「「!!!?」」」」
高い高い棒が誰かに接触する前に、人命優先と判断して倒れてきた棒を粉砕した。
棒が壊れるところに一度強く蹴りを入れれば、すぐに棒の形を保たず、棒は塵となる。
塵が頭の上から降りかかるのも良くはないだろうと判断したため、とりあえずは壁で塵を全て覆って下に落ちてこないようにし、地面に着地。
……ああ、本当にダメな奴だ私は。
ご飯は食べなくても死にはしない…けれど、この状態でこの棒の体積以上の壁を作るなんて、馬鹿な事したなぁ。
右脚変な捻り方したし、観客席に乱歩さんと太宰さんいるし…これは騙すのが大変そうだ。
「し、白石さん!?」
「って、あれ!?棒は!!?」
慌てふためく周りの声に耳を傾ける方が辛い。
こっちは炎天下の中で貧血で、多分右脚捻挫か打撲かになってるってのに。
まあ自己責任ではあるのだけれど。
「白石さん!!!さっきの棒は…!!」
『!浅野さん!!ごめんなさい、私だけならともかく他にいっぱい人がいたんで…粉砕しちゃいました』
「「「粉砕!!!!?」」」
「い、いやそれはいいんだが…どこか怪我は!?」
『私は大丈夫です!それよりも他に誰か怪我人がいないかと……後、棒の替えを…』
浅野さんの指示で他の人達への確認が始まり、浅野さんは私のところで動きはしなかった。
流石にずっとこのままだとばれるな。
グッと色々なものを堪えて立ち上がる。
「すまない、どうやら準備の者が用意する棒を間違えたそうなんだ。あれは棒倒し用のものではなく廃材で…本当にただの巨大な木の棒だったんだ。それを間違えてしまった子達が大人数で運ぼうとしてね」
『ああ、それで…』
道理で上手く力を受け流せなかったわけだ。
「白石さんのおかげで被害が出ずに済んだ…本当にありがとう。君はこれからもう出る種目は無かったね?保健用のテントで休んでも…」
『い、いえ…棒倒し、ちゃんと見たいんで。失礼します』
自分の脚を普通に歩けるようにするため、痛みをこらえて自分の能力で簡易ギブスを作り出す。
迷彩効果を付ければ見えはしないだろうし。
砕いてしまった木のくずは能力で別の場所に移動させ、自分の椅子に座って背もたれに背を預ける。
かなりきたなぁ、今も使ったし。
……中也さんに、会いたいなあ…
