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第15章 大切な人


私にはその気持ちが分からなかった。
なんで、家族はそういうものを見るものなのか。

どうして私には分からないのか。

学校の勉強でも、それは教えてもらえなかった。
自分で勉強していても、他の家庭を見ていても、やっぱり私には分からなかった。

『………そ、うなんですか。…まあでも、まさかフランシスさんもジョンさんも来てくれるなんて思ってなかったし…嬉しいです。ありがとうございます』

「中学生が見にこられて嬉しいなんて口にするとは…ってそうか、ミス白石は学校は初めてだったんだな?」

「そうだよボス、扱い的にはこの辺幼稚園生くらいだと思っとかないと、素直すぎてこっちが悶え殺されるよ」

『何言ってるのトウェインさん』

幼稚園生って……いや、でもそうか。
誰かが私を見に来てくれた事なんて…あったような気がしないでもないけれど、そんなになかったような気がする。

ううん、ここまで私を出して、こんな風に接してくれる人達に出会う事なんてなかった。
私が出せるようになったのも、今こうやって外の世界にいるのも…やはり結果的にはあの人のおかげなのだろう。

『……………お昼ご飯ちゃんと食べてるかな、中也さん』

「……」

ポツリと呟いた声は、誰かに聞き取られたのかどうなのか。
周りの歓声にかき消されてしまえばいい。

別にいいもの、今更な事だし。

だけど、やっぱり胸の奥のモヤモヤは取り除けるわけでもないらしい。

………どうして私には、こういう普通も無かったのだろう。

学校なんていう社会に初めて入って、思ってもみなかった感情が私の中には溢れてくる事が多くなった。

…お母さんやお父さんの顔が知りたい。
どうして私を生んだのか…なんで育てるなんて事もなかったくせして、子供なんて生んでしまったのか。

嫌だったのなら、どうして早く捨ててくれなかったのか。

今考えたところであの世界にはもう戻れないわけだし、仕方の無いことなのだけれど。

しかし今日、初めてわかったことがある。
大切な人に自分を見るためにこういう場に足を運んできてもらうというのは、どうやら子供に限らず私にとっても嬉しいことであったらしい。

私は子供の位置づけになるのかどうかは曖昧だけれど、それでも嬉しかった。

自分を見に来たいから、なんてそんな単純な理由でここまで来て貰えた事が。
私を見に来てもらえた事が。
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