第14章 わからない人
次にふわりとAさんの近くに転がる宝石を浮かして、それを私の掌にまで移動させる。
「…っ、それが異能力…!?」
『これ“も”私の能力です………ほら、優れた異能力なんて存在しない』
キラリと小さな光を出してから、宝石はスウッと消えていった。
意識のある男の人達とAさんはそれを見て、目を見開いている。
「な、何を…」
『簡単ですよ、元に戻しただけ……あの人の寿命に戻っただけです。奪った寿命を同価値の宝石に変える能力は凄いのかもしれないですけど…私に通用すると思います?』
「!!?」
次の瞬間、Aさんが瞬きをする間もないほどの一瞬の内に、この場に立原や広津さんを初めとした武闘派組の一部を移動させた。
移動させられた側も驚いてはいるものの、事前に伝えてあっただけあって相手ほど動揺はしていない。
「お前っ、するんならちゃんと合図をだな!!?」
『なあに、何か文句でも?折角見せ場作ってあげたんだからあと任せるよ』
「…任せとけ。もう準備は整ってんだろうなァ?」
『出来てる出来てる、さっきついでにしておいた』
Aさんはやけになったのかなんなのか、今度は立原に向けて手を出し始める。
「貴様に効かぬと言うなら別の者に使うまでだ!!!」
『どうぞ?出来るんならやってみて下さいよ』
今度はこちらが口元を歪めて笑みを浮かべる番だ。
「あ?痛くも痒くもねえぞおい」
『そりゃあそうでしょ、感謝しなさいよね立原』
「素直に喜べねえわそれ」
「何をした!!?今度こそまた何か変な技を使ったんだろう!!?」
ご名答。
口にしながらAさんに掌を向けて、よく出来ました、と掌に小ぶりの宝石を溢れさせる。
「が…ッッ!!?ぐ、ぁあ…!!」
『へえ、こんな感じなんだ。優れた異能力も大した事ないのね…ね?私を前にしたら異能力に優れてるも何もないでしょう?』
「き……さ、…っ」
『私に取られちゃ、皆等しく使えないものになっちゃうんだから』
鈍い発砲音が響いて、何かと思えばAさんの脳天がピンポイントで撃ち抜かれていた。
…なんだ、もうやっちゃったんだ。
『何?もうちょっとお話してたかったのに』
「お前あれ以上野放しにしてたら絶対ぇ自分で殺してたじゃねえか。引き金引きかけてた奴が惚けてんじゃねえぞ」
『………っ、ちょっとギブ…』
「うお…!?」