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第14章 わからない人


『宝石王の乱心…それが貴方の異能力?』

「そうだ…見てみるがいい」

Aさんは自身の右手を前に出し、部下の一人と目を合わせる。
目の合った男の人はそれに怯えきった様子で短い悲鳴を挙げ、そしてそれはすぐに苦しむようなうめき声に変わる。

そしてAさんの手からボロボロと小粒の宝石がいくつか落ちてくる。

……成程、そういう事。

「見ろ、これが俺の異能力!!他人の寿命を同価値の宝石に変える能力だ!!」

『へえ、同価値の宝石に…』

「何の役にも立たないこいつらのようなものでも、こうして価値あるものに生まれ変わることが出来るのさ!合理的で素晴らしい異能だとは思わないか!!」

『素晴らしい異能とか馬鹿馬鹿しい……この世に素晴らしい異能力なんてもの、存在しないんですよ?なんなら試しに私に使ってみます?』

私の挑発にまんまと乗るAさんは、ピク、と眉をひそめていいだろう、と私の方を向く。

遠くで立原の声が聞こえたような気がしたものの、無視だ。
私には確かめたいことがある。

Aさんは異能を発動させたのか、手で拳を作ってグ、と握りしめている。

しかし様子がおかしい。
私は何故だか痛くも痒くもない上に、寧ろAさんの方が冷や汗を流すのみ。

「な、にを…っ……何をした…っ!!?」

苦しむ声と共に吐き出された大量の血液。
Aさんが吐血したのだ。

『……へえ、そうなるんだ。言っておきますけど、私は何もしてませんよ?あなたが勝手に苦しんでるだけです』

「こんなことがあっていいはずがない!!何故貴様は苦しみもせず立っているのに、私が……っ、く…、!」

『貴方の異能は確か、人の寿命を同価値の宝石に変える能力でしたよね?……私の寿命は宝石に変えられるようなものではなく、貴方の作り出せるようなものには収まりきらない程の価値だったのでは?』

「そんな事があるはずがない!!人間の寿命には限りがあり、一定量のものと一定の質しか存在などしないはず…!!!」

『じゃあ貴方の情報不足を嘆くしかないで……ッ?』

頬に焼けるような痛みが走った。
少しだけ反応してしまいはしたが、今は戦闘態勢に入っているしそこまで気にするほどの痛さではない。

頬から血が伝って首元を通り、それが白いシャツを染めていく。

『…投げナイフ……飛び道具も下手な事。ちゃんと狙わなきゃだめでしょう?』
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