第14章 わからない人
「おやおや白石さん、どうも、昨日ぶりですね。おはようございます」
『どうもAさん……昨日ぶり…はそうなんですが、ここはどこですいったい?いかにも怪しい施設に間違いはないのですが』
「寧ろこちらが驚いてますよ、どうして貴女のような方がこのような所に?ここは…私の組織の船なのですが」
『……Aさんの組織?』
Aさんの元へ飛んでみたら、見たことも聞いたこともないような場所に移動してしまった。
扉を自分で開けられないという欠点はそこだ、移動先の状況が全く分からないというリスクを背負うことになる。
とりあえず相手がどこにいるのか分からないかったために急いで一人で移動を完了したのだが。
「おや、誰からも教えられていないのですか?私は自分の組織を持っていましてね…どうやってここに進入したのかは知りませんが、いったい何が目的です?」
『思い当たる節ならあるんじゃあないです?ポートマフィアの裏切り者さん』
カチャ、と銃を構えれば、それと同時に多くの大人が同じ部屋に突入し、私を囲うようにして銃を構える。
Aさんは顔を歪めて笑みを浮かべながら、あたかも勝ったというような顔をする。
「ははは!まさかこんなにすぐにバレてしまうとは!あー…せめて貴女の情報さえあればこんなことには…貴女はここで死なずに済んだかもしれないのに」
『私、死ぬのはまだ先なんで…そのへんよろしくお願いしますね?』
「はっ、いったいこの期に及んで何が出来ると……____!!?」
それは本当に一瞬のこと。
Aさん本人を含めたその場の敵全員の身体に、急所を外して銃弾を転移させた。
死ぬような所には当てていない。
ただし、死ぬほど痛い場所。
…身をもって経験した箇所である。
私が狙った…というよりは認識した人物全ての鮮血が垂れ、その全てが痛みに悶えて膝を地面につく。
「な…っ、い、今何を……!?」
『何って、皆さんの身体に銃弾を打っただけですが』
「引き金を引く素振りは無かったはずだ!!!それがどうしてこんな事になる!!?」
『私がいつ銃を使って攻撃するなんて言いました?』
私の一言でAさんの顔が青くなり始めた。
しかし冷や汗を流しながら、再び口元を歪めてこちらを見る。
「ふ、ふふふ…舐めないでいただきたい。まだ紹介していませんでしたよね?……私の異能力、“宝石王の乱心”を」
