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第14章 わからない人


「おい……おい、蝶」

『ん〜…』

「駄々こねてんじゃねえよ!自分で立ちやがれ!!」

『……ちょっとしんどい』

「こんな状態で戻ったら俺が後でどやされんだよ!!!」

立原にもたれながら体の力を抜く。
油断させるためにわざと当たったのはいいものの、さっきのナイフ何か塗ってあったな絶対。

でも避けたら避けたで多分後ろにいた人に当たってただろうし。

「…………立原、蝶ちゃんを連れて戻るんだ。後はこちらで処理をするから、とりあえず首領に報告と…蝶ちゃんは一旦ちゃんと休みなさい」

「ジイさん…ってまあそうか、お前頑張ってばっかりだったもんな」

『立原に子供扱いされるとか屈辱…』

「こんな時まで張り合ってくんなっつーの!!」

ほら、お前がいねえと戻れねえんだからと立原に言われ、肩を軽く掴んで立たされる。

『発信機は?』

「ジイさんが持ってる」

『…じゃああとよろしくお願いしますね』

広津さんや他の黒服さん達に一礼し、立原を連れたまま首領の執務室に移動する。

「お、戻ってき…___!?」

しかしそこで気が抜けたのかなんなのか、その場に崩れるように倒れ込んでしまった。

なんだこれ、知ってるような知らないような…

身体が上手く動かせなくて、熱くてしんどくて頭がガンガンする。

なんでAさんがこんな物を…?

肩で浅い息を繰り返しながらうっすらと目を開けていると、私の元にすぐさま立原や首領など、何人かの足音が駆け寄って来る。

「蝶ちゃん!?どうしたのこんな…すごい熱だよ、とりあえず医務室に運……」

途端に、ふわりと持ち上げられる体。
よく知ってる感覚、あったかくて大好きな感覚。

『ふぇ…?』

「な、なんでここに…」

その人の声は聞こえないけど、誰なのかなんてすぐに分かる。
だって大好きな人だから。

いつだって一番に会いたい人だから。

『……中也さん…?』

「………医務室行って、とりあえず無茶しやがった説教だお前は」

『!…えへへ、久しぶりだなお説教……ッ、そんな言い方しないでいっぱい話したいんだって言ってくれればいいのに』

「…話す前にしてえ事ならいっぱいあるからな」

首領の執務室に本来ならば今いるはずのない中也さんがそこにいて、悔しいながらやっぱり安心してしまう。

喧嘩して出てきたはずなのに、やっぱり敵わないや。
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