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第14章 わからない人


『それ…なんでそんなこと……』

「なんでって、心配だからに決まっているだろう。私だけじゃなく皆そう思ってるさ…それに、理解してしまえば誰が一番心配するのかは君が一番よく分かっているだろう?」

『…………記憶無理やり戻すのは脳に負荷がかかるから絶対にしないし、データもなおしませんけど』

「なんとしてでも中也には早く思い出させるべきだとは思うのだけれど…今日の件が落ち着いてからでも、やってみる価値はあるはずだよ」

やってみる価値って、何。
記憶の無い今の中也さんにあんなものを見せてどうしろって言うのよ、私なんかデータの存在すら曖昧にしか覚えてなかったのに。

『…中也さんにあんなの教える必要、ある?』

「もしもそれで中也の記憶が戻ったとしたら、誰よりも嬉しいのは君だろう?」

『!…………私、とりあえずもう行きますから。もうこれ以上変な事中也さんに言わないでくださいよ』

「蝶ちゃん、もう行くって……!ま、待つんだ!!立原君達はちゃんと連れて行くんだよ!!?」

返事もせずに食器を片して、中也さんの横を通り過ぎて元々私の部屋となっていた空間に入り、仕事服に着替え始める。

「おい糞太宰、どういう事ださっきから。今日の件だとか立原がどうとか…」

「!!中也、君そんなことも蝶ちゃんから聞いてないのかい!!?」

響き渡る声を無視して、髪をまとめる事もせずにそのまま靴を履き、中也さんの方に振り向いてからニコリと少し微笑んだ。

『………じゃあ、お先に出ますね』

「あ、おい待て蝶!!」

『!……?』

思わず出ようと動かした足を止めて振り返る。
何してんの私、相変わらず中也さんの声に反応するなんて。

「…お前、今から何しに行くつもりなんだ?……昨日言ってた奴を殺しに行くのか?」

『……私が殺さなかったらいいんでしょう?それなら色んな人と一緒に行くから大丈「誰だ、そいつは」…何』

「お前が憎くて憎くて堪らねえっつうその相手は誰かって聞いてんだよ。……お前学校あんだろうが、俺が代わりに行くからお前は___」

『___邪魔、しないでください』

私の声に、中也さんが目を丸くする。

振り絞った声は情けなく震えていて、中也さんに反抗するのも怖くて仕方がなくて。
ごめんなさいっていうのと自分の情けなさが入り混じって、そんな可愛げの欠片もない事しか言えなかった。
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