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第14章 わからない人


目をつぶった状態で、能力を応用させればなんとかそこまで疲れることも無く朝まで意識は保ち続ける事が出来る。
かなり地道な能力のコントロールを要するため滅多に使うことはないのだけれど、寝ていられないような状態が続く時にはいつもこうやって生き延びてきた。

結局襲撃も何も無く朝まで過ごすことが出来たため、とりあえずは一日乗りきった。

朝日が差し込み始める前に能力を解除して意識を覚醒させ、薄らと明るくなったリビングに移動してお弁当を作り始める。

今日、半分は片をつけてやる。
昨日はみすみす殺せなかったままだったのだけれど、今度は逃がしてなんかやるものか。

私に見つけられて逃げられるだなんて思わない事ね。

『……あーあ、ひっどい味…今世紀最大級に下手な気がする。不味いって言われちゃうかな…』

恐らく昨日の中也さんの料理が美味し過ぎただけだ。
私の舌には今、自分の料理の味がとてもひどいものに思えて仕方がない。

全部全部嫌いになりそう。

お昼までには、横浜だけでも平和にしてみせる。
ポートマフィアの中に敵なんてもう作らせない。

烏間先生にすみませんという謝罪と一緒に今日の予定だけを連絡し、遅刻する事を伝えた。

お弁当を作り終えて詰め、後は持っていくだけの状態に仕上げたら、ここからは朝ご飯の用意だ。

いつものようにご飯を作って、中也さんが起きるのを待って…

「蝶!!?」

『!?…あ、中也さん』

おはようじゃなくて私を必死に探すような声で驚いた。
ああ、確かここに戻ってきた時もこんな感じだったっけ。
本当、二人揃って思う事は一緒ならしい。

「あ、焦った…起きてみたらお前いなくなって…?飯……?」

『ごめんなさい勝手に…でも作らないと中也さん、多分朝ご飯外で済ませちゃうだろうから』

「まさか朝から作ってもらえるとは…け、怪我とかしてねえか!?包丁なんか危ねえ上に火まで『私の事何歳だと思ってるんですか中也さん』お前の手に傷なんか付いてみろ!?ショックで死ぬぞ俺は!!?」

そこまでか、と思いつつ苦笑いで仕上げてしまって、テーブルに並べて同時に作っておいた珈琲も注ぐ。
自分が作ったものに対する味覚が信用ならない今だけれど、これくらいはしたかった。

私も大概、戻りたがってるんだな…なんて。

「…お前もっと自分の皿に量入れろよ」

『ゔっ………バレた』
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