第14章 わからない人
「いや、確かに居心地がいいとは言ったが…俺こんなことばっかしてたのか……?」
『私がさせてた』
「…これでも一応男なんですが」
『知ってる』
「キスしていいすか」
『今日はもうダメ』
寝て下さいよと中也さんの方に顔を少しだけ上げてから言うも、相当恥ずかしいのか中也さんはかなり焦っている様子。
実は隠してただけで内心ではこんな感じだったのかな、なんて。
ほぼ強制的に腕枕をしてもらっているのだけれど、私は久しぶりの中也さんの傍ということもあって内心かなり緊張しているところもある。
……まあ、リラックスしきってすぐ寝ちゃ意味無いしいいんだけどね。
中也さんがなかなか寝てくれなかったため、自分の方から寝ましたよというような演技をして寝息のようにして息を立てれば、それにつられてか中也さんも体の力が抜けてきた。
しかし寝ぼけているのかなんなのか…私の前髪に手で触れて、それをかき分けて抱きしめるように頭を撫でる。
何も言ってはくれないけれど、こんな風にされていると大事に思ってはもらえてるんだなと痛いくらいに思える。
…良かった、嫌われてなくて。
良かった、またこんな風に思ってもらえて。
顔に出さないよう必死だけれど、そうしている内に中也さんも眠り始めているのが分かる。
「………俺がしっかりしねえと…何忘れてんだよ大事な事を」
小さく聞こえた中也さんの本音に反応することなく、そのまま寝た振りを続けた。
まずは中也さんに寝てもらわなくちゃならないから…本当は今すぐにでもしっかりなんてしなくていいって言いたいけれどそれは我慢だ。
しっかりなんてしなくていいんだよ…私だって、中也さんに同じような思いをさせちゃったことはあるんだから。
それも含めて私が何かを言う資格はない。
中也さんが自分を責める必要なんてない。
暫くすると中也さんの方から寝息が聞こえ始め、確実に寝てもらえたのだと認識する。
中也さんのところがあたたかすぎて眠たくなって、本当に寝てしまいたくなった気持ちを切り替えて無理矢理目を開く。
『……ごめんね』
中也さんの腕の中からそっと抜け出して、ベッドのマットレスに背中を預けてその場に座る。
それから少し特殊な強度の特別強い壁を窓の外に展開し、頑張るぞと気合を入れる。
少しふらつく意識を無理矢理朝まで保ち続けた。
