第14章 わからない人
中也さんがお風呂に入っているうちにいつもの癖で手際よくお弁当の下ごしらえを全て終え、デザートまでもを作ってしまった。
…調子に乗って張り切りすぎたな、これは。
また毒だなんてものを盛られなければいいのだけれど。
『冷蔵庫開けたら中也さんびっくりするかな…』
私の体質が移りかけているというのは喜ばしい事ではないのだが、不幸中の幸いとでも言うべきだろうか、それによって毒の心配は少しだけだが楽になった。
それだったら、恐らくほとんどの毒には抗体が持ててるはずだから、身体に異常が一時的に起こったとしても死ぬまでのリスクには至らない。
………私の作ったものを中也さんがまた食べてくれるのかは分からないけど。
「お前、まじで俺と寝てたのか?いいのか寝ても、なあ?俺がおかしくなったらやべえぞ」
『もうこれ以上おかしくならないでくださいよ、今の発言がもう既におかしいですから』
「ご最もで………あー、にしても変な感覚はそのせいか?どうりでなんか広いとは思ってたんだよ自分のベッドなのに」
『それなら私ソファーで寝ま「絶対ダメだ」言うと思った』
リビングで冷蔵庫の中に気づかれないようにとそわそわしながら話をするも、中身はやっぱり中也さん。
私と寝るのに気遣う上に私がソファーで寝ようとすればすぐに阻止してくるし。
「普通そこはな?俺の方がソフ『絶対ダメ』お前もかよ!!!」
『これだから中也さんは…』
「俺!?え、今の俺が呆れられるところなのか」
動揺する中也さんをよそに、早く寝ましょうよと急かす。
横になってる時が一番好きなんだもん、中也さんがいつもより甘やかしてくれるから。
しかしやはり今の状況が状況なので、中也さんより先に入るのは躊躇われる。
だから中也さんの後ろについて早くと言うのだけれど……それがいけなかった。
「分かった分かった、入るからついてこいよ」
『…!!………ッ、ぁ…』
「……蝶?」
忘れてた、この人今、私が真っ暗なのダメだって知らないんだった。
突然真っ暗になった空間に脚に力が入らなくなって、その場で崩れ落ちて声も出せなくなる。
どうしよう……どうしよう、どうしよう。
『ち、ちゅうやさ……ッ』
「お、おい?とりあえずベッドに…?」
なんとか小さく振り絞った声と一緒に、震える手を伸ばすと中也さんのズボンに触れた。
