第14章 わからない人
「さっきまではえらく甘えてきてたのにもうまた恥ずかしがってんのかお前は?」
樋口さんや立原と別れて車の中…随分と久しい気がする。
後ろの座席に座ろうとしたのに違和感があるとかなんとかで結局助手席に座ることに。
好きだけど、今座るとなんかいつもより恥ずかしい…
『だ、だって中也さんが中也さん中也さんしててだから中也さんが中也さんで…』
「連呼すんじゃねえ照れるから!!!」
『……中也さんも照れる時あるんだ?』
「ああ!?…照れてねえよ別に!!!」
『中也さん照れてる時絶対私に隠すもんね…………!!』
これもまた唐突な事…中也さんとの会話を弾ませようとしていた矢先に、今私達が乗っている車に向けられて狙撃された。
目視した瞬間に弾丸を掌の上に移動させたため何も被害はなかったのだけれど、明らかに焦った襲撃だ。
まあ、離れたところから当てるだなんてどこにでもいるような狙撃手だろうけれど…雇われかしらね。
「蝶?どうし……お、おい?お前まさかキレてんのか!?俺何かしたか今!!?」
『!ああ、ごめんなさい。私、執拗い人が嫌いでつい』
「お前俺の事もしかして実は嫌いだったりすんのかそれ、俺だよなそれ、執拗いとか俺だよな」
『……私にだけ執拗い中也さんは嫌いじゃないですよ』
「待て、なんだその言い分は、まるで俺が誰か他の奴にもしつけぇみてえな言い方じゃねえか。俺がここまでしつこくなっちまう奴なんかいねえぞ、それもお前に関しちゃ記憶自体は飛んじまって……!す、すまん」
慌てて謝罪をした中也さんに謝らないでと言い返す。
中也さんのせいなんかじゃない。
この人はただ巻き込まれただけで、なんにも悪くなんてないんだから。
『ていうか中也さんがしつこくなっちゃう人、もう一人いるでしょう??』
「俺が誰にそんなしつこくなんざな『太宰さん』ああ!?太宰ぃ!!?…………って待て、お前太宰の野郎と割と面識あんのか」
『…まあ、いいお兄さんって感じ。ろくでもないだらしなさだけど、頼りにはしてるし』
「ポートマフィアの裏切りもん…くれえならともかく“あの”太宰相手に頼りとかマジでろくでもねえことに巻き込まれんぞお前…?……つうかお前がそこまで言うレベルとか初耳なんだが…あいつ一応敵だよな?探偵社員だぞ?」
ここで私は気が付いた。
この人、私が探偵社員って知らないんだ。
