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第14章 わからない人


相手が立原なら問題ないだろう、紅葉さん相手なんかならバレてたかもしれないけれど。

この違和感の正体は、何を隠そう執着心の差だ。
覚えてもいない人間のことを、会って数日で以前の中也さんのように執着心を持てる人間がどこにいるだろうか?

好きだって気持ちに嘘はないのだろうけれど、それでもこれはどうしようもない。

少しくらい妬いて欲しかったなとか、そんな子供みたいなこと考えてないから。

『立原立原』

「あ?どうしたよ、今日はやけに俺に構ってく…どうした」

『…やっぱなんでもない!また今度!』

「なんだそれ?………あんま溜め込むなよ、蝶」

『!!…ん……』

ポンポンと腰を屈めて頭を撫でられて、少しだけ気分が軽くなったような気がする。

馬鹿なことしてる方がよっぽど楽だ。
じゃないと…そうでもしてないと、寂しいって感じちゃうから。
もうちょっとでいいからって、求めちゃうから。

「……………んで、今日来んのかよ」

『…行く』

「なら早く来い、じゃねえとお前、寝る時間遅くなっちまうだろ」

『……はーい』

少し離れたところに進んで行ってしまっていた中也さんの元に小走りで駆け寄ってから、いつものように手を握ろうと腕を動かした。

けれど、やっぱりなんだか触れてはいけないような気がしてしまって、行き場を失くした手を大人しく下げようとする。

「蝶ちゃん…?」

『!ひ、樋口さん!ま、また明日来ますね!おやすみなさい!』

「え?う、うんおやすみなさい…もだけど…」

樋口さんの目線を手に感じて、慌てて手を隠して笑顔を取り繕った。
のだけれど、どうしてだろうか…そんなところには敏感に反応してくれてしまうらしい。

『ッ…?え……?』

手をスルリと絡められて、そのまま大きくて暖かい、大好きな手に包まれた。
中也さんは私の方を見て、少しだけ恥ずかしそうにしつつもぶっきらぼうに声を出す。

「遠慮すんなっつったばっかりだろが。繋ぎたきゃ手ぐれぇ繋げばいい」

『……うん…うん………っ』

キュ、と握り返して、顔が緩みきったのをなんとか引き締めようとして変な顔になったのを気付かれないようにとうつむけば、中也さんは先に進まずにしゃがみ込んで私の顔を覗き込んだ。

「なんだその顔、まだキスされ足りねえのか?」

『ふぇ…っ?………い、いや…なんでも……ッ』
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