第14章 わからない人
「あの、蝶…?」
『〜♪♪』
「蝶さん!!?」
『!はい!なんですか!!』
「なんでお前が食器片してんだよ!?」
『?なんでって…癖?』
お皿を洗っていれば、いつものように中也さんは布巾を手に取って食器を拭く…のだけれど、何やら不満があるらしい。
『あ、置いといてもらえたら私が拭くんで大丈…』
「いや、これ俺の仕事!!お前ご馳走された側なんだよ、働くんじゃねえっつの!!」
『中也さんに食器なんて洗わせるわけないじゃないですか、馬鹿なんですか?』
「なんだそのさも当然かのような言い方!?納得いかねえ…!!」
話しているうちにも作業は進み、気付けば食器はもうほとんど片付いていた。
そこで私は見事に中也さんから布巾を奪い取り、作業を再開するのである。
「ああ!!?またおまッ…………なんなんだよそんくれえのこと俺にやらせてくれても…」
『中也さんの手に私より布巾の方が触れてるとか許せない』
「そこ!?お前の判断基準そこなのか!?」
「いや、どう考えたって照れ隠しでしょうそれは………ッぐ、!!?」
ボソリと呟いた立原の鳩尾に肘を入れた。
「立原ぁ!!?」
『あ、立原か…ごめんなさい、雑音が酷くて気づけなかったわ』
「てめえ絶対ぇわざとだろ!!?正直に言えよこの幹部大好き野郎が、動いてねえと気がすまねえって!!」
『デコピンいっとく?』
「二度とごめんだ!!!」
本日何度目になるだろうか、余計なことしか言わないなあ立原は本当に。
「た、立原…手前その話今度詳しく聞かせろ」
「俺はいいんすけどそしたら蝶に俺が殺され…」
『言わないよね立原?私立原のそういうところ大好きだよ』
「てめっ、こういう時だけ都合の良い事ばっか言いやがって…!!……っ!!?お、おい蝶!!お前冗談でも幹部の前でんな事!!!」
いつものように慌てる立原だけれど、中也さんからはいつものような目線も飛んでこなければ、敵視するような声も威嚇するような態度も見られなかった。
そりゃあそうだよ、心配なんかする必要ないのになんで未だに焦ってるんだろ立原は。
「中原さん、今のに深い意味は何も無くてっすね!!?」
「!あ?…あ、ああ……そうか」
「……中原さん…?」
『…中也さん中也さん、今日本当に泊まっていいの?』
「ああ…そりゃ勿論」
『なら良かった』
