第14章 わからない人
「……蝶、腕回し返してくれたのは本当に嬉しいんだがな?…後どれくらいこの姿勢でいればいいっすかね」
『一週間はこれでいい』
「共倒れコースじゃねえか!!確かにいくらでもとは言ったが一応食器も片しに行かなくちゃならねえし…」
『……背中』
「…了解」
そんなこんなで食堂前。
中也さんの背中は久しぶりで、乗ってからドキドキするのと一緒にやはり大好きなのだと自覚した。
『蝶の特等席〜♡』
「絶対ぇなんか変なスイッチ入ってんだろお前、そんな可愛いキャラだったかよ」
『可愛い??』
「……可愛い」
『えへへ、中也さんも可愛い♪』
「嬉しくねぇ…っ」
広くてしっかりしててあったかい背中に顔を埋めて、久しぶりの幸せに浸る。
安心する、中也さんに触れていられるのが。
「!おや、中也……!!その様子じゃと上手く話は出来たようじゃのう?」
「姐さん!…って結構皆残って……ってうお!?しまっ…ち、蝶!!首しまって!!!」
『……蝶の事放置で他の人ばっかり?』
「いやいやいや、放ってねえから!!寧ろお前の事しか考えてねえよ!!」
『本当??…これよりやっぱり中也さんに抱っこしてたい』
「ダメだ今日のこいつ可愛すぎて俺そろそろ悶え殺されそう」
中也さんに降ろしてよと言えばすぐにその場に降ろしてくれて、そのまま勢いでありがとうと首もとに抱きついた。
「………ここが天国か?」
「「「違います」」」
「姐さん、俺今なら死んでいいかもしれねえ」
「お主は蝶には本当にデレデレじゃのう、まあ慣れてはおるが」
ギュウッとしていれば中也さんからもまた腕が回されて、それに気分を良くしてご満悦になる。
「早くもスイッチ入れてやがるとか流石すぎる中原さん…」
「す、スイッチ?」
『何言ってんの立原、中也さん症候群だよ』
「なんだそのネーミング……俺は復唱しねえからな!?」
『中也さんの事がもっともっと大好きになっちゃうから中也さん症候群』
「「「「久しぶりに聞いたなこれ」」」」
あとは頑張るのじゃぞ、後は頑張ってください、と口々に中也さんにかけられる言葉。
それに困惑しつつも中也さんは私の顔を覗き込む。
「………初めてそんな幸せそうな顔してくれたな、蝶」
『蝶の事飼いたくなった??』
「飼いたくなっ……!!?」
「「「「どんな教育を…」」」」
