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第14章 わからない人


「…どこ触られた?」

『……手と、腕と肩と…く、び………』

「…歩けるか?とりあえず俺の執務室に来い、さっきの奴について教えておいてやる」

『Aさんのことなら知ってます……』

目を丸くする中也さんの目が見れなくてつい目を伏せた。

「……じゃあ俺が来て欲しいから、来てくれねえか?」

『!…中也さんが……?』

「嫌なら無理にとは言わねえが…」

『…行きます』

中也さんに差し出された手を取ろうかどうか躊躇って、手を引こうとする。
しかしそれを中也さんの方から取られて引かれ、上手く立つことが出来た。

「………遠慮すんな、難しいかもしれねえけど、普段通りに接していてくれても何も怒らねえから」

ポンポン、と軽く頭を撫でられて、行くぞ、とそのまま手を引かれた。

『…嫌いじゃ、ないよ……』

「分かってる」

『…っ、大っ嫌いなんて嘘、だから…』

「それも分かってる…嫌いな奴が、忘れられてまで秘書になんか名乗り出ねえだろ」

好きだとはまだ言えなかった。
大好きだって、伝えるのが怖かった。

だけど多分気付かれてるから。
今はそれに甘えさせてください…知らないふりをしててください。





「ストレートでいいか?」

『……ストレート好き』

「そうか、なら良かった」

執務室にお邪魔して、記憶が無くても変わらない味の中也さんの紅茶をいただく。
美味しいんだよなあこれ…なんで作り方覚えてるんだろ。

「ここに呼んだのはまあ勿論落ち着いてもらうためでもあるんだが……」

中也さんは椅子から立ち上がって、デスクの上から箱を持って戻ってきた。
とても見覚えのあるその箱に、見ただけでまた涙腺が緩み始める。

『…なんで分かるの……?』

「分からねえもんはお前の事だからな。甘いもんが食いたそうだったけど時間はなかったし…行ってみたら見た事ねえもんが置いてあったから、まさかと思って買ってきた」

『………でも私、完食出来なかったのに』

「俺が一口食ってきたからそれでクリアだよ、初回サービスな」

取り出されたケーキと大好きなプリンは、いつもと変わらなず美味しそう。

「まあ、本当のことを言うとケーキの趣味は分からなくておばさんに聞いたんだが…」

『……なんでも嬉しいよ、中也さんが選んできてくれたのなら』

「!…適わねえな、さっきそれと同じこと言われたよ」
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