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第10章 名前を呼んで


「そ、そんな…ッ、ですが幹部、その子、まだ子供ですよね?そんな子のどこがそんなに…」

「どこって……全部」

『!!?』

当然のようにしれっと答える中也さん。
え、全部とか何言ってんのこの人、さっきしつこいの嫌いって言ってなかったっけ。
私とかしつこいの代名詞だよ、嫉妬深い上に独占欲だらけだよ、中也さん実は重たいのが好きなんじゃないのかって思うくらいに受け止めてるけどさっき嫌いって言ってたよね?ね!?

「悪いが他の女とは次元が違ぇんだわ。擦り寄ってくんのは勿論…拗ねてても怒ってても泣いて喚いても、わがまま言っても理不尽な事言ってても全部等しく俺ん中じゃあ可愛く思える」

そこでくるまって恥ずかしがってんのバレバレなのに隠し通そうとしてるとことかな、と声に出されて、思いっきり身体をビクつかせた。

「あとこいつは、誰より人間出来てるさ。俺らなんかよりよっぽど色々と大人だ……あんま子供子供って舐めてっと痛い目見るから、他の二人にもそう伝えとけ」

「は、はあ…か、幹部。ですがせめて、好みの女性のタイプだけでも……」

ソラさんの声に私までもが聞き入ってしまう。
いや、これ前二人の時に散々聞かされたからいいんだけれど、中也さんが人前でなんて言うのか気になって。

「好みの?蝶を可愛がってくれる奴なら皆いい奴だと思うがな」

「『基準そこ……ッッ』」

ソラさんと意見が一致した瞬間だった。
え、大丈夫かこの人、本当に基準そこなのか。

「分かったんならとっとと戻れ、手前のおかげで拗ねちまったあいつの機嫌を直してやんねえといけねえんだよ」

『!?拗ねてないし!!』

布団にくるまったまま上体を起こして咄嗟に反論する。

「否定してるあたりがもう拗ねてんだろが。なんだよそんなあからさまに可愛い嫉妬しやがって、そんなに寂しかったのか?」

『!!?……ッ、寝る!!!』

「……と、とりあえず私はこの辺で…か、幹部の一途さはよく伝わりましたので」

今度こそよろしくなと言う中也さんに放心気味にはいと答えて失礼しましたと出て行くソラさん。
私は今度こそ寝たふりだ。

寝たふり……だったはず。

『…ッ!?ちょ、布団返して…』

ばさりと布団を剥ぎ取られて、返してと腕を伸ばす。
すると狙っていたのかなんなのか、ニヤリと笑ってから中也さんは私の腕を掴み、そのままベッドに押し倒す。
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