第10章 名前を呼んで
喫茶店にてプリンと紅茶を全てたいらげてから、トウェインさんとジョンさんと別れ、中也さんには何も悟らせずになんとか拠点まで戻ってくる。
すると首領に呼ばれたのだろうか、芥川さんと途中の廊下で鉢合わせた。
「!…どうも」
「ああ、芥川か。手前も首領に呼ばれて?」
はい、と一言。
芥川さんはちらりと私を見てから若干雰囲気を緩めたような気がして、そこから一緒に首領の執務室へと歩いていった。
中也さんは私を見つけるまでの間に、自分の足で探偵社にまで赴いていったらしい。
他にも実際は色々と行っていたのだろうけれど、それ以外はなにも教えてくれなかった。
「よかったあああ蝶ちゃん!!もう家出しちゃったのかと思って!!」
『あはは……で、どうして御三方がここに?秘書制度でも取りやめますか?それとももういっその事私を中也さんの秘書に「「お前は探偵社と学校とあんだろが」」……過保護センサーめ…』
首領は私の様子をいつものように微笑ましく見ていて、その隣には先程紹介された秘書さん達が勢揃い。
……あんな人達の隣にいてあんな風にいつも通りでいられる首領が分からない。
私はこんなにも気分が悪くなってくるのに
私からしてみると、物凄く気持ちが悪い存在に思えてならないのに。
それでもそれを悟らせるとあの秘書さん達に怪しまれ、変な警戒心を持たれるだろう。
それはあってはならない事だ、どう動かれるか分からない上、何が目的なのかも分からないのだから。
「うん、蝶ちゃんからしてみるとかなり納得がいかないとは思うんだけどね?立候補をしてくれるくらいにはやる気もあるし、次から気を付けるように言い聞かせたから……ねえ?」
首領の声に従ってソラさんが頷く。
何かに怯えたように震えている。
なんだ?そんなに私は怖がらせてはいないはず。
すると何故か隣の中也さんがはあ、と息を漏らしてから、口を開く。
「悪かったよさっきは…やりすぎた。今はもう俺も頭は冷えてるし、それさえ守ってくれりゃあ俺は何も文句は……!?」
中也さんが何故か相手に謝ったかと思いきや、まだ懲りていないのか、ソラさんは私の目の前で再び中也さんに抱きついた。
私よりも背が高くて、中也さんと目線も近くて…そして恐ろしく気持ちが悪い。
そんな輩に中也さんに触れられるのに耐えられなくて、再び引き剥がそうと動こうとした。
