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第10章 名前を呼んで


時刻は少し前に遡る。
蝶が会議室から出て行ってしまってから、すぐに追いかけようと足を動かそうとした。

「いったた……いきなり蹴りかかってきたりするかしら普通?頭おかしいんじゃないのさっきの子」

「……今のはソラが悪い」

「普通じゃないのはどっちだこの馬鹿が」

「ちょっと二人共、怪我させられて殺されかけたの私の方なのに」

しかし、痛い目に遭っていても尚そんな事を口にする秘書とやらの発言に、ついつい頭に血が上ってしまったのも事実。
さっきといい今といい、よくもまああいつの目の前で普通じゃないだなんて言ってくれやがった。

「……手前、手の具合は」

「!な、中原幹部っ…結構強めに蹴られしまったようです。暫くまともな戦闘は出来そうに……で、でも骨は折っていないので業務に支障は「だろうな」え___?」

「手前、まさかあいつの力があの程度のもんだとでも思ってやがんのか?ああ?あいつが手加減してなけりゃ、そんな手とっくに中の骨が粉砕されてんぞ」

声が低くなるのを自分でも感じながら、たらりと冷や汗を流すそいつから目を離し、少し離れた所の床に落ちた細でのナイフを親指で指差す。

「あれだって見てみろ、飛ばされて床の上に転がってるだけのように見えるかもしれねえが…カイ、だっけか?手前、そのナイフ持ち上げてみろ」

ナイフをですか?と言いながら、首を傾げてそこに落落とされていたそれを手で持ち上げるカイ。
するとやはり俺の予想通り、ピキッと音を立ててから、ナイフの刃が綺麗に折れた。

動揺する周りだが、付き合いの長い俺や首領、姐さんはまあそうだろうなといった表情。

「あいつが手前なんざ足元にも及ばねえくれえに強いと分かってて、俺の目の前だから手加減するだろうとも分かってたから止めなかったが…」

秘書に顔を近づけてから、殺気を抑えきれずに少し漏らしてしまいながら、その目を睨みつけるように声を放つ。

「手前、次またあいつに刃物でも向けてみろ…俺はあいつと違って手加減はしねえ」

「ひ、っ……」

蝶は俺のやり方が優しいものだと言っていた。
確かに一瞬の内に死ねるようなもの、キツい拷問みてえな殺され方に比べりゃ全然マシなもんだろう。

しかしそれはあくまでも通常ならばの話である。

上着の内側からサバイバルナイフを取り出して相手の喉元に突き立て、プツ、と血を流れさせた。
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