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第10章 名前を呼んで


『ありがとう本当に…何か奢りましょうか?』

「女の子が奢りとかしないの!寧ろ僕が奢ってあげちゃ『自分で払います』あ、はい…」

いつものやり取りを繰り返して残りのプリンを食べ進めていると、突然カランカランと音が鳴って、喫茶店の入口から凄い勢いで人が入ってきたようだった。

「いらっしゃ……あら、どうしたのそんなに疲れた様子で…」

「い、いや…すんません、ここに蝶来てませんか……っ?」

息を切らしながら、かなり疲れた様子で私の名前を呼んだその人。

「え、蝶ちゃん?来てるわよ、中にいるけど…お水飲んでいく?中也君」

奥さんの声に他の三人は顔を青くする。
どう考えても不自然なこの面子。

つい先程中也さんにも内密にしたいような話をしていた状態で、まさかの本人がここに来た。

嘘、私にも立原にも、連絡なんて一つも無かったのに。

「お、お願いします……ッ!蝶、良かったここにいたのか…って、なんでこんな面子が揃ってんだよ?」

はい、とお水を中也さんに差し出す奥さんが、たまたまここに皆集まったのだと説明してくれる。

それにホッと内心安心しつつも、暑い真夏日に走って探してくれていたのだろうか…額に汗の滲んでいる中也さんは、私のところに来て痛いくらいに私を抱きしめた。

『……痛いよ』

「知るか…ッ、心配した」

『なんで今更迎えに来たの』

言った途端に、ピシャリと再び、周りの三人に衝撃が走ったような気がした。
中也さんは更に私を抱きしめる腕に力を入れて、悪い、と一言おいて話し始める。

「…俺の方がさっきの奴にキレかかって、殺気抑え込むのに時間かかってた」

『!!…中也さんが?なんで中也さんがあの人に対して怒るの?』

「なんでって、お前に対する言い分に頭にきてな…遅くなって悪かった。首領と姐さんに止められて、とりあえず早く蝶を探しに行ってこいって無理矢理大人しくさせられてよ。そう言われねえと今頃何をしでかしてたか」

中也さんから放たれた言葉には驚かされてばかりだった。
なんだ、あの人に誘惑されてたわけじゃなかったんだ。

私の事ばっかり考えてたんだ。

「俺よりお前の方がよっぽど今回は大人だったよ………それ食ったら一旦帰ろう。首領と話をした方がいいだろ」

中也さんの言葉にコクリと頷いてから、今度こそ美味しくプリンを食べていく。
幸せって、こういうこと。
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