第10章 名前を呼んで
出てきた秘書さんは三人。
内二名は女の人で、一名が男の人。
男の人は紅葉さん、女の人はそれぞれ中也さんとAさんの担当らしい。
そこで既に首領を睨みつけそうになったのだけれど、なんとか堪えて我慢をした。
こういう事か、その為にわざわざ私を呼んだのか。
秘書であるその三人は普段三人で行動を共にしていたらしく、暗殺業を生業としていたらしい。
そこを組織の情勢を考慮して首領がスカウトしてきたらしく、手っ取り早く教育するのと同時に組織の立て直しに貢献してもらおうという算段だそうだ。
合理的…それもその呼びかけに応じてくれるだなんて、何か利害が一致したのだろう。
それぞれは異能力を持っているわけではないらしく、異能力者というものを目にしたのも日本に来てからなんだとか。
「呼び方は首領にもお願い致しましたとおり、日本らしく簡単なものでお願いします!」
暗殺業を営む者の中には自身の名前が無いものなどよくある話…名前が無いのか教えたくないのかは別としておいて、かなり日本が気に入っているそうだ。
「この子達は三人とも、中々腕の立つ暗殺者でね…名前は確か、カイ君とリク君、ソラ君で良かったかな?」
「成程、三人一組でそれは覚えやすいのう…よろしく頼むぞ、カイとやら」
長身で細身のカイさんは紅葉さんのところに。
無口な人なのだろうか、礼儀正しそうではあるけれど、あまり社交的には見えない…まあ、紅葉さんの班には拷問班などもあるし、ストレス耐性がある人が適任だろうから、その辺で判断したのかも。
Aさんの担当はリクさん。
スラッとした女性で、生真面目な仕事人タイプという印象。
眼鏡をかけていて、セミロングの茶髪をピシッとストーレトにしている方だ。
Aさんも新しい人だろうから、しっかりしてそうな人が選ばれたのかな?
そこまでは良かった。
問題は…
チラリと残りの一人…私よりも身長が高く、いかにも可愛らしい女の人というか、人懐っこそうというか。
それこそイリーナ先生のようにハニートラップでも専門職にしているのではと思う程に、なんというか男の人が好きそうな外見の人。
明るいキャラメル色のふわふわした髪が背中くらいまで伸びていて、肌も綺麗だし胸もあるし、何より本当に可愛らしい人だし…しかし問題はそこじゃあない。
ソラさんと目がパチッと合って、すぐに知らないふりをして逸らした。
