第10章 名前を呼んで
首領の声に紅葉さんは目をパチクリさせて、すぐにニヤリと顔を歪める。
「そうかえそうかえ、そんなに羨ましいかお主ら?そうじゃろう?女でなければこのように蝶にくっつく事など、胸が気になって出来んじゃろう」
『ふわぁああ!!?ちょ、ちょっと紅葉さん、何して!?』
くるりと私を首領と中也さんの方に向けたかと思えば、やわやわと胸を下から持ち上げるようにして揉みしだき始める紅葉さん。
「よくここまで育ったものじゃ…可愛いぞ蝶や」
『ふえ、ッ…や、やだちょっと……っ、そんな……!!』
擽ったさと恥ずかしさに喚いていると、ガシッと肩を掴まれて、無理矢理紅葉さんから引き剥がされた。
イライラしたように顔にうっすらと青筋を浮かべながら、無理矢理紅葉さんとは向かい側になる席に連れていかれ、大きく音を立てて座ったその人の隣にポスッと座らされる。
「姐さん、そういうからかいはやめてくんねえか」
「おや、すまんのう気が利かなかったようで……もしや蝶の胸がそこまで成長した原因はお主にあるのかのう?中也」
「「ブッ!!!!!」」
『……えっ、中也さんがこんな風にしたんですか?』
「んなわけあるかッッ!!!?」
「あああ、本当に可愛い奴じゃ!!そんな変態なぞ放置してこっちに来ぬか蝶っ」
「だからしてねえって!!!」
中也さんと紅葉さんの口論に首を傾げて首領の方を向くと苦笑いを返された。
少ししてから静かになった会議室。
紅葉さんも着席して緊張感が少し漂う中、先程入口で出会ったAさんが首領の隣に姿勢よく立つ。
その様子に疑問を感じつつ首領を見ると、今日蝶ちゃんを呼んだのはね?と話が始まる。
「噂を聞いていたのとネットで見たりしたっていうのとで、彼が蝶ちゃんに会ってみたいっていうものだから、蝶ちゃんを呼んだんだ」
首領の言葉で中也さんと紅葉さんは頭に手を当ててはあ、と溜息。
『……え、それだけ…ですか?』
「蝶、察してやれんだろ」
『…首領、そろそろ過保護なのもいい加減にしません?別にここでわざわざ引き合わせなくとも、それなら外ででも話せたでしょうし』
いつものものかと思って呆れたように首領の方を向くも、首領は何故だか、今回ばかりは慌てる素振りも見せようとはしない。
それだけじゃない。
私の声に、中也さんも紅葉さんも目を見開いてこちらを見ていた。
