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第10章 名前を呼んで


『ぉ、はよ…ござぃ、ます……ッ』

キュウッと胸が締め付けられて、しどろもどろになりながらも挨拶を返す。
するとポンポンと頭に手を置かれて、それにまた胸がキュンキュン鳴らされた。

や、やばい…朝っぱらから中也さんのこれはやばい。
ただでさえズボンとシャツしか着てなくて外じゃ見ないような格好なのに。

悶々と考えながら中也さんにいいようにあやされていると、ようやくハッと気が付いて、中也さんの顔を勢いよく見る。

『ち、ちち中也さん!?あ、あのっ…あ、ああ朝ご飯、なんでッ……』

「あ?…ああ、飯か。んなもん別にお前がしなきゃなんねえもんでもねえし、とりあえず骨が完治するまでお前に料理はさせねえよ」

『完治って……えっ、料理させないって、お弁当は!!?』

久しぶりに作れると思っていた愛妻弁当…結婚したわけじゃないけどプロポーズなんてものをされた身としては、本当にあれが愛妻弁当になってしまったと内心舞い上がっていたのだけれど。

「数日だけだ、俺が作る…手抜きしてたら蝶が心配すっからな」

『え、え…ッと……っ、つ、作っちゃダメ?』

「ダメだ、とっとと治してから作ってくれりゃいい」

『治してからって…だから、そろそろ私ももう____』

言いかけたところで、中也さんの顔がまたほぼゼロ距離にまで近付いてきた。
それに抵抗できずに心臓をバクバクさせて目を見つめると、ニヤリと笑って中也さんは口を開く。

「昨日の晩は特に疲れただろうからなァ?可愛い鳴き声だったぜ、蝶?」

『な…ッ、なああっっ!!!?』

「わがまま聞いてやるとか言っときながら、結局指二本で必死によがって顔蕩けさせてよ?」

『あ、あああああれは中也さんがああいう事するからッ!!!』

「の割には気持ちよさそうだったけどな…あれであんだけ達するとかどんだけ敏感なんだよお前」

髪に指を通されて、それだけの事にひゃ!!?と大げさに反応してしまう。
ず、ずるい…今までにないくらいに容赦なく続けてやめてくれなかったくせに。

『だ、だから中也さんのせいでっ……』

「ああ、知ってる。お前、ゆっくり撫でられんの大好きだもんな」

『~~~ッ!!!』

唸るように中也さんの胸に顔を埋めると、またあやすようにはははと笑いながら撫でられた。

「ほら、やっぱ好きじゃねえか…可愛かったよ、蝶。……さて、飯食うぞ」
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