第10章 名前を呼んで
『な…っ!?ず、るいッ、いっつも子供子供って言っ……っぁあッ…!!』
もどかしく、痺れるようにジンジンしていた頂きに、突然指で触れられた。
それにおかしいくらいに身体が跳ねて、中也さんから顔を逸らす。
恥ずかしい、中也さんにこんな事されて、見られて…気持ちよくなって。
「ああ……悪かったな、お前のコンプレックスに気付いてやれなくて」
中也さんの手が止まって、呟かれた言葉に思考がピタリと静止する。
『…へ…っ?コンプレックス……って…』
「大丈夫だ、気にしなくても、俺の中じゃあお前は大人の女だから…甘えたがりなところやそれらしいところもあるが、それでもただの餓鬼だと思ってる奴にこんな事、しねえよ」
『な、んで…ッ?なんにも、私コンプレックスだなんて…』
「本当なら大人なのに…って、考え込むことが多かったんじゃねえのかよ」
隠しきれずにビクリと肩が震えて、目を丸くしたまま中也さんの方を振り向いた。
「焦らずゆっくりだなんて出来ねえ部分もあるよな、そりゃ。お前は元々大人な部分もあっから…もう付き合う前から手出してて何言ってんだって思われっかもしんねえけど……手出しちまうくれえにはお前の事、子供じゃねえとは思ってる」
『ッ、分かりにくい、です…っ、言ってくれなきゃ、分かんないですよ……中也さんのバカぁ…ッ!!』
「はは、泣きついて俺んところに甘えに来るようなところはやっぱり子供だけどな」
中也さんの首元に抱きついて、思っていた事を正直に伝えられて、自信の持てなかった自分の身体…後ろめたく思っていた、殺しかけていた子供の自分が姿を現す。
我慢するだけが大人じゃない、子供になって自分を見せて、ようやくそれが大人への一歩になる。
私みたいな歪な存在は、まず子供にならなきゃ大人なんてものにはなれない…子供になる事を覚えなくちゃ、成長する事が出来ない。
「…んで蝶さんよ。俺が今どうしたいか、賢いお前なら分かってくれるとは思うんだが」
『ッ!…するの……?』
「お前風に言い換えると、“したい”だな」
『中也さんのわがまま…?』
キョト、と目を丸くして、少ししてからまた口で弧を描く中也さん。
「ああ、わがままだ…今度は俺が言う方だな」
『…じゃあ、わがまま聞いてあげます』
額に軽くキスが振ってきて、それから死ぬ程気持ちよくさせられた。
