第8章 お正月 <双子6歳>
「へ?パパ?おかえりなさい…」
ようやく状況を飲み込んだのか、若干ふわふわした口調で翔におかえりなさいをした。
「智、起きた?雅紀たちと楽しんだの?」
「うん、綺麗な絵があったんだよ。あとね、有名な人のお墓もあった。
お父さんやお母さんのとは全然ちがったの…」
智の言うことを補足するように雅紀が言葉を足す。
「あのね、大聖堂の中にジェーンオースティンのお墓があったの。
床にね石碑が埋め込まれてて一瞬わからない感じなんだけどね。
で、それを見て日本のとは違うって思ったみたい」
「あぁなるほどね。そっかぁお父さんたちのと違ったかぁ…。
日本に帰ったら…お墓参り、行こうか?」
「うん!」
智も和也も嬉しそうに返事をする。
二人にとって、両親がいないということがネガティブなことになっていないのが嬉しいと翔たちは思う。
悲しいことだけどどうやっても時間は戻せない。
起こってしまったことは覆せないから…せめて後ろ向きにならないでほしいと常に思っている3人。
かといって両親のことをなかったことにもしたくない。
だから小さい頃から正直に話してきた。
お墓参りも、子どもたちの物心がつく前から機会をつくっては一緒に連れて行った。
だから…嬉しそうに頷く二人をみて妙にホッとした翔たち。
「智くんも和くんもお父さんとお母さんのことが大好きなんだね?」
斗真が二人をみながら言った。