第8章 お正月 <双子6歳>
もちろん、斗真も二人の両親の事情を知っている。
智や和也の表情を見てて思ったことが口からでていた。
「うん、大好きだよ!」
見事なシンクロで答える二人。
その様子を見ている翔たちの顔は至極穏やかでしかも喜びに満ちていた。
言外に自分たちの子育てを認めてもらえたように感じたから…。
子育てに正解なんてなくて、正解がないからこそ厄介だ。
なにが正しくて間違っているのか?
その答えがその場で出ないことの方が多い。
しかも親は当事者でどうしても視野が限られる。
一生懸命やっていることが空回りしてることもある。
見えなくなっているからこそ、客観視できる他人からの一言が大きかったりする。
しかも翔たちは実の親ではない。
3人で二人の子どもを育てるというイレギュラーな形ゆえ、余計に正解がみえないし、正解が欲しくなる。
見えない葛藤を続けている3人にとって斗真の一言は肯定に思えた。
心の中でありがとうと斗真に礼を言いながら、翔が出発を告げる。
それにあわせて動き出す5人。
行きと同様、列車にのってロンドンへと戻る6人。
翔と斗真から取材の話を聞いたり、智と和也の話を聞いたりしながらの道のりはあっという間でイギリスの電車にしては珍しく、定時にロンドンに到着した。
みんなで夕食をとり、B&Bに戻った5人。
たくさん遊んだ双子はこの日はあっという間に夢の中。
翔たちは途中で買ってきたアルコールを片手に部屋で静かに飲みはじめた。