第8章 お正月 <双子6歳>
翔も含め、3人は常に、双子達に色々な経験をさせてあげたいと思っていた。
本来ならいるはずの両親の代わりに出来るだけ色々なことをさせてあげたいと思っていた。
小さい頃の経験がすべてその先に繋がるなんてこれっぽっちもおもっていない。
でも小さなきっかけが、小さな経験が将来を左右することもあるのを3人は知っていた。
だから繋がらなくても多くの経験をさせてあげたいと思っていた。
今回、ウィンチェスターに連れてきたのもロンドン以外の都市を見てみるのもいい経験になると思ったからだ。
ロンドンとは違ってのどかででも、ロンドンよりも歴史のある街。
子どもが興味を示しそうなものなどなさそうな所でも小さな楽しみを見つけてしまう子どもの柔軟性に驚きながら図書室に移動した。
中では係りの人が本物を大事そうに捲りながら見せてくれる。
12世紀に作られたウィンチェスター聖書。
今見せてもらっているのはその後に写本されたものらしいがそれでも十分に古いものだ。
「潤くん…これ、すごいね…色がたくさんできれい」
智が図書館の空気を感じてか小声で話す。
鮮やかな彩色が施された古い本の迫力に潤も頷きながら「すごい」と漏らす以外出来なかった。
一方、和也は置かれていた古い地球儀に興味津々だった。
暫くして図書室を出た4人は歴史の重みのようなものを感じていた。