第8章 お正月 <双子6歳>
「ねぇ、ウォータールーってさ、確かユーロスターの出発駅じゃなかったっけ?」
雅紀が周囲を見ながらひとりごとのように呟く。
「うん、俺が以前、ロンドンに来た時はこっからパリに行ったけど…」
翔も不思議そうな顔でいう。
「サクショー、いつの話してるの?
確かに以前はここから出てたけどね。
2007年に新しいターミナル駅が出来てそっちから出るようになったんだよ」
「うわっ、マジか?知らなかったよ、それ」
「なんかね、速度の問題らしいよ?
俺は来た時からセント・パンクラスから出るのが当たり前だったから、逆にウォータールーの話聞いてちょっとびっくりしたもん」
「しばらく来ないと色々変わるもんなんだね?」
翔は複雑な顔をしながら時刻表をにらんだ。
ウォータールーを出た特急電車は南西部のハンプシャー州に向かった。
およそ1時間、田園風景の広がる車窓を眺めていると古めかしいれんが造りのホームが見えてきた。
「じゃ、俺たちここで降りるね?仕事終わったら連絡ちょうだい?」
潤はそう言うと雅紀に合図して子どもたちとホームに降り立った。
翔たちはそのまま列車で更に先のサザンプトンセントラルへ向かう。
翔と斗真を乗せた列車がホームを出るのを見送った4人はとりあえず駅を出た。
こじんまりとした駅を出てガイドブックを頼りに坂道を下りはじめる4人。
智と和也はそれまでのロンドンとはだいぶ違う景色に興味津々で目に入るもの目に入るものを二人に質問しまくった。