第8章 お正月 <双子6歳>
翌日の朝、翔がB&Bのダイニングですまなそうな顔をして4人に手を合わせた。
「翔兄?どうしたの、突然」
「実はね、日本にいるときからずっとオファーしてた日本人のサッカー選手の取材が急遽OKになったんだ。
で、ちょっと南の方の地方都市に行きたくて…」
「構わないよ、別に。
なかなかないチャンスなんでしょ?」
潤がなんでもないように言う。
「ありがとう、でもさ、その間、どうする?」
翔が子どもたちを見る。
「それさぁ、邪魔しないから着いてっちゃダメ?」
雅紀が翔に聞く。
「いや、構わないけどさ、何もないと思うんだ、そこ。
メジャーな街って感じでもないし」
「ってかどこなの?翔さん」
潤がガイドブックを手に翔に聞く。
「取材自体はサザンプトンっていう港町。
で、インタビューは向こうの都合でそのちょっと手前にあるウィンチェスターって街で行うことになる。
ウィンチェスターにあるマナーハウスでね」
「ふーん、サザンプトンにウィンチェスターかぁ」
「サザンプトンって聞いたことある」
「あぁ、ほらタイタニックが出港したところだから。
そこのプレミアリーグの選手なの、今回の相手」
「へぇ、でも翔兄、カメラとかどうするの?」
「あ、大丈夫、斗真が一緒だから」
「なるほどね、翔さん、俺たちウィンチェスターで観光するからいいよ?
大聖堂とかあるみたいだし」
潤がにっこり笑って言った一言で今日の予定が決まった。