第1章 おそ松とキスとか
「はぁ…マジ、もう無理だわ俺…」
『な、何が…?』
「ね、1回。1回だけでいいから、お願い!ちゅーしよ?ハル。」
『はぇ⁉︎⁉︎え、今⁉︎だってまだ1回目のデートだし…ちょっ…』
私の言葉に聞く耳持たず、彼は私の方へと距離を縮めてきた。うわわわ、近い近い!!…って、ぅ、わっ⁉︎⁉︎
とっさに後ろへ下がると同時に、私の視線はぐるんと天井を差した。
…しまった。
後ろはベッドだった。
私は膝カックンを受ける形で、ベッドへと倒れこんでしまった。
やばい。これはまずい。まるで了承したかの様じゃないか!
多分顔面蒼白であろう私を見ても、彼はお構いなしに、近づいてきた。暗くて顔が分からないよ!どんな表情してるの⁉︎怖いよ!!
…気づけばそこには仰向けの私と、その両サイドに手をつくおそ松。大変だ。逃げられない!上体を起こせば、必然的に顔同士が近づく訳だし、おそ松の手のせいで横への逃げ道も潰されてるし…。
「…な、ハル。ホント、1回だけだから。つか彼女の部屋で2人きりで、手を出さない方がおかしいから!キスだけでいいから!…だから、さ…」
至近距離にいる彼が、頬を少し赤らめながら、真っ直ぐに私を見つめていることが分かった。
う、うわあ…!おそ松が普段しない表情してる…。
恋愛経験がない私でも、ベッドの上で、この体勢で、彼氏がこんな「男の人」って顔をしていたらもう、どういうことになるか想像できる。
…キ、キス…するの?しちゃうんだよね…?
覚悟を決めて、私も静かに彼を見つめる。
「ハル…ホント、可愛いわ…」
おそ松は、そう呟いてゆっくりと、少々ぎこちない様子で、顔を近づけてくる。
初めてのキス…。テレビやネット、夢でしか知らないキス。こんなにドキドキするんだ…。
視界にはもう、おそ松しか写っていない。私は、ゆっくりと目を閉じる。
当たり前だけど、キスするときは彼の顔が見れないんだなぁ…私、変な顔じゃないかな………あ…おそ松の匂いがするーーー
「ん、…。」 『…ふ、…。』
瞬間、唇に感じる感触。少しカサついていて、でも柔らかくて…。もっと弾力のあるものだと思ってた、でも、うん、凄い。何か、本当、これは、ぬいぐるみや枕では再現できないよ。唇と唇がくっついてる感覚。
何だろ、少し温かくて、ドキドキして、これーーー…
