第12章 縮まる距離、溢れ出す想い【おそ松】
それにしても、楽しい時間ってあっという間だったな…もうすぐ家に着いちゃう。
「…おそ松くん。今日はいろいろありがとう」
握っている手に、きゅっと力を込める。
…まだ、離したくない。
「……うん」
おそ松くんも、握り返してくれた。
アパートの前まで辿り着く。
「あ、そうだ!」
「ん?」
「結局最後まで奢ってもらいっぱなしだったから、次に一緒に出掛ける時は私に奢らせてね!」
お返しにお返しだなんてキリがないけれど、やっぱりこのままじゃ私の気が済まない。確かに今はお金にそんなに余裕がないけれど、仕事はもう決まってるんだし、給料が入れば大丈夫!
と…
「…はははっ」
「…へ?」
急におそ松くんが笑い出す。え、あれ、私変なこと言ったかな?
「君って、初めて会った頃から変わんないよな〜。ちょっとお人好しすぎるよ?…じゃあさ」
「?」
「君が給料もらえるようになって、親父さんと無事に和解できたら…全部決着がついてからならいいよ。それまで俺、待ってるからさ」
ぽんっと頭の上に手が乗せられ、撫でられる。目を細めて、優しく微笑む彼。
「…あ…」