第12章 縮まる距離、溢れ出す想い【おそ松】
それから私たちは館内をぐるっと一周して、最後にイルカのショーを見学した。
イルカは可愛かったし、ショーもすごく面白かったのだけれど…
「まさかあんなに濡れるとは思わなかったよな〜!」
「う、うん…」
最前列に座ったせいで、もろ大量の水しぶきを喰らった私たちは、案の定上半身びしょ濡れ状態。
傘はもらってたんだけど、まさかあんなに飛んでくるとは思わなくて、反応が間に合わず…せ、せめてカッパが欲しかったよ…
というか、おそ松くんなんとも思ってなさそう…水被った時子供みたいにはしゃいでたもんな…恐るべし。
「絵菜ちゃん、だいじょぶ?俺より濡れてんじゃん」
「あ、あはは…平気平気。でもさすがにこのままだと風邪引いちゃうから、もう出たいかな。館内も一通り見て回ったし」
本当はもう少しおそ松くんと一緒にいたかったんだけど…仕方ないよね。
おそ松くんは顎に手を当てて「うーん」と唸った後、
「絵菜ちゃん、こっち」
「?」
手を引かれるまま、休憩スペースまで連れてこられる。
「ここに座って待っててくんない?すぐ戻ってくるから」
「う、うん?」
おそ松くん、行っちゃった。今度はなんだろう?
数分後、おそ松くんは本当にすぐ戻ってきた。
「寒いだろ?これ被ってな」
そう言って差し出されたのは、可愛いイルカがプリントされた大きめのタオル。
「わ…!これを買いに行ってくれてたの?」
「おう。ほんとは服でも売ってればよかったんだけど、さすがにそれはなかったんだよなー。家着くまでそれで我慢してもらってもいい?」
「うん!ありがとう、おそ松くん」
嬉しい…彼の優しさが身に染みる。
「帰ろうぜ。送ってくよ」
私たちは再び手を繋いで、水族館を後にした。