第11章 本気の恋
…あいつはどうしているだろう、とたまに考えることはあった。
別れを切り出した時には一方的に迫ったのもあってかわりとあっさり了承してくれたし、かといって卒業したらお店を乗っ取ったのかといえばそうでもない。少なくとも母に聞いた話では今でも骨董品店のままで、あいつが訪ねてくることもないそうだった。
父は私だけではなく、あいつにも怒りを募らせていたらしい。…よく考えれば、父も複雑な心中だったのだろう。私がもっと父の気持ちを分かってあげられたなら、こんなことにはならなかったのかもしれない。
家を出てから連絡は取っていないけれど、とにかく父の怒りが収まるまでは店を継ぐどころか帰ることすらできない。だから私はとにかく安定した職について、厳しい生活を楽にしてあげるべくお金を稼ごうとした。
そうして必死で就活したり、6つ子のみんなと出会って楽しい日々を過ごしているうちに、あいつのことも忘れられると思っていたのに…
やっぱりあいつは諦めていなかった。
仕事なんて他にいくらでもあるのに、あいつが私に固執するのは、きっと¨面白い¨から。
あれだけ仕事熱心で、私が跡を継ぐのを心から喜んでくれていた父をうまく口車に乗せて自分のいいように丸め込ませたのも、ただの暇潰し。
弄ばれた。人の恋心を踏みにじってまで。
だから私は、あいつが嫌い。大嫌い。
そして、そんな歪んだ男を好きになってしまった自分が情けなくて、辛くて…
一番、許せないんだ―。