第11章 本気の恋
…そこまで聞いて、ようやく悟った。
こいつは最初から、私のことなんて暇潰しの道具としか見ていないことに。
『浮気までしてたの?!最低…ッ!』
『いやいや、だから絵菜が一番だってー。そんな怒るなよ』
『もうあんたとは別れる!お父さんの目も覚まさせる!2度と私や家族に関わらないで!!』
踵を返して別れを告げる。…でも結局、逃げられなかった。
『…あ?何言ってんの』
『!離して!』
『このままじゃ店の経営が厳しいって分かってんだろ?助けてあげようとしてんじゃん。俺そのためにいろんな資格も取ったし、知識もある。優秀な人脈もな。多分お前が何を言っても、おじさんは聞く耳持たないって。…現実を見ろよ』
…心が、折れた。
私が今まで努力してきたことは全て無駄だったのかと思うと、涙が止まらなくて。
『…あーあ、泣いちゃった。しゃーないから慰めてやるよ』
***
本当に、自分が情けなかった。
『お前、俺のこと本気で好きだったんだろ?かわいそうになぁ』
『…本気で愛されてると思った?残念、それさ…お前の思い込みだよ』
あいつの言葉が、頭の中で木霊する。
騙されていた、一言で表すならたったそれだけのこと。
あいつの本性を見抜けなかった、私の未熟さにも責任がある。
結局私はあいつと別れる道を選んだ。
散々悩んだし、両親とも散々話し合った。でもあいつの言う通り、父はまともに取り合ってくれなくて、あいつと別れるなら出ていけと家を勘当されてしまった。
母は心配をしてくれたけれど、私は素直に家を出て一人暮らしを始めた。
大学を無事卒業して職に就けたのはいいけれど、1ヶ月でまさかの倒産。
活動拠点をよりいい企業の集まっていそうな東京に移し、両親…主に母からの資金援助を受け就活をしながらの一人暮らし。