第11章 本気の恋
友達から噂を聞いたその日の夜、私は近くの公園に彼を呼び出した。
『…どういうことなの?私に内緒で、お父さんと交渉でもした?』
『あー、バレちゃったかぁ。さすが田舎、ちょっと情報が漏れるとあっという間に拡散するねぇ』
『真面目に聞いて!』
『てかどうせ結婚前提で付き合ってんだから、俺が継ごうがお前が継ごうが関係ないだろ?』
『ただの婿入りならまだ分かるけど、ちゃんと勉強した上で言ってるの?!大体やりたい仕事があるって前に…!』
『そう、やりたい仕事がこれ。いやぁ参ったよ、おじさんに気に入られちゃってさ。お前を大切にするなら、店は好きにしていいって』
『…は…?』
『創業何十年だか知らないけど、今時骨董品店なんてぶっちゃけ儲からないっしょ?まぁ可愛い可愛い絵菜が店主になったらなったで別の客引きはできそうだけどな』
『ちょっと待って…何を』
『だーかーらー
あんな古臭い店なんてぶっ壊して、新しく生まれ変わらせるんだよ。いやぁ、お前のおかげで楽に就職先が見つかったわ。感謝感謝』
……頭の中が真っ白になった。
こいつの言ってることが、果たしてそんな簡単に実現可能なのかは分からない。
でもお父さんが本気なら…本気で、こいつに全てを任せるつもりなら…
『…勝手に、話を進めないでよ。私は何も知らない。聞いてない!』
『ああ、そりゃ俺がおじさんとおばさんに口止めしておいたからな。俺からのサプライズ的な?』
『ふざけないで!じゃあ何、私に近付いたのはこのためだったの?最初からお店を乗っ取るのが目的だったの?!』
『んー?俺がそこまで考えてるようなタマか?これはただの気まぐれだよ。単純に、自分の¨彼女¨が¨骨董品店の跡取り娘¨って肩書きが気に食わなかっただけ』
『っ!?だったら別れれば…!』
『え?やだよ。だって女の子と付き合うのって面白いじゃん。…今んとこ、関係持ってる女の中じゃ、絵菜が一番面白いよ』