第11章 本気の恋
【絵菜side】
私とあいつが出会ったのは、今からちょうど2年前。
当時大学3年生だった私は、友達の紹介であいつと知り合った。
恋愛経験はお世辞にも豊富とは言えなかった私だけど、誰にでも優しくて頭も良くて容姿もそれなりだったあいつにいつの間にか惹かれていって…
気が付けば、恋人同士になっていた。
そう…あの頃は別人だった。自惚れなんかじゃなく、心から愛されていると信じていたんだ。
でも、その信頼はある日を境に脆くも崩れ去る。
『ねぇ、絵菜の実家の店、彼氏が跡を継ぐって本当?』
『え?そんな話聞いてないよ』
『でも噂広まってるよー?私てっきり絵菜が継ぐのかと思ってたのに』
…みんなが何を言っているのか分からなかった。
私の実家は曾祖父の代から続く骨董品店。子供の頃から周りに¨渋い¨¨古臭い¨などと散々馬鹿にされてきたけれど、常連さんだっているし、ご近所付き合いも悪くなかった私にとって、この店は人と交流する大切な場所だった。
1人娘である私に跡を継がせようと、幼い頃から父に商売のなんたるかや目利きの仕方などを叩き込まれてきた。そして私自身、そんな熱心な父の背中を見て育ってきたし、例え古臭いと言われようと骨董品をはじめとした古美術品に興味があったので、いつかここが自分の店になるんだと漠然と思っていた。
父もちょうど還暦で身を引きたいと言っていたから、大学を卒業したら継ごうと思ってたのに…