第10章 衝動【カラ松、チョロ松】
【チョロ松side】
家を出てから、僕と絵菜ちゃんはひたすら走っていた。
カラ松がいる以上追ってくることはないと思うけど、近辺を出るまでは油断できない。
…でも、さすがにもういいかな?
走るのをやめる。彼女も僕に倣って歩き出した。
「チョロ松くん、もういいの?」
「うん、だいぶ離れたし、あまり走り通しだと疲れちゃうからね。もうすぐ駅だから、このまま歩いていこう」
帰りは電車に乗るしかない。パラグライダーはここに来るまでに壊れちゃったし。…確かに速度は速かったけど、一回きりの使い捨てタイプだとは思わなかった。というかあんな空の旅は二度とごめんだよ…。
「…チョロ松くん。助けてくれてありがとう」
「え?ああ、いいよお礼なんて。助けてって言われて助けるのは当然だよ」
「…でも…」
「お互い話したいことはたくさんあるけど、とりあえず今は無事に家に帰ることだけ考えよう。ね?」
「……うん」
…それにしても、大事に至る前に助け出すことができてよかった。
カラ松があいつを殴ったのには驚いたけど。普段は滅多に怒らないからなぁ。
でも、気持ちは分かる。もしあの場に居合わせたのが僕だけだったら、きっとカラ松と同じことをしていたと思うから。
¨助けてって言われて助けるのは当然¨
この言葉に嘘はない。でも、いろんな人の力を借りてまで僕たちが必死になれたのは…
君だから、なんだよ。絵菜ちゃん…。