第10章 衝動【カラ松、チョロ松】
「…という次第なんです。どうやら私も気絶させられていたみたいで、それ以降のことは何も分からなくて。あ、でも、時間的にはそれほど大昔でもないので、急げば足取りくらいは掴めるかもしれません」
随分駆け足ではあったけれど彼女からここまでの経緯を聞き、僕は頭の中でなんとかまとめる。
つまり、彼女…舞さんは、騙されて意に沿わない形で男の手助けをしてしまっていたと。二人が険悪なのを不審に思ったが時すでに遅く、男は絵菜ちゃんの意識を奪って誘拐、その際口封じとして舞さんも気絶させここに放置…。
考えれば考えるほど、ただの元彼とは思えないアクティブさ…ますます絵菜ちゃんの身が心配になってくる。
「…彼女、MINEで男の自宅に向かってるって教えてくれたんだけど、それについては何か知ってる?」
「あいつの自宅…実家なら知ってるんですけど、こっちは私も詳しくないから…あ、でも」
「何?」
「確か、電話で話した時、新宿がどうのこうの言ってました!」
新宿!?遠!っていうかそれ本当だったら、スマホの件も含めていろいろ詰めが甘すぎるだろ!
でもこれでひとまずの目的地は決定したな。あとは詳しい場所と移動手段さえ…
「…ーい、おーいっ!」
「ん?」
カラ松だ!よかった、ナイスタイミン…
…………
「…カラ松、何それ」
「パラグライダーだ!」
僕は無言で拳を握り締め、カラ松ににじりよる。
「ふざけてるの?」
「ち、違う!違う違う違う!確かに見た目はパラグライダーだが、正しくはパラグライダー的な何かだ!」
「もっと酷い」
「いやでも、ちゃんとデカパン博士から借りたもので、ライセンスも修得しているぞ!」
「なんのライセンスだよ。いいからそこになおれ。根性を叩き直す」
「だから違うってぇぇーっ!!」