第10章 衝動【カラ松、チョロ松】
「あの…すみません。えーと、もしもし?」
本来なら、知らない女性に触れることは愚か近付くことすらできない僕だけど、今は状況が状況だ。そう思い込ませ、軽く肩を揺さぶる。
「…う…ん…」
「あ…」
どうやら気がついたらしい。うっすらと目を開ける彼女に安堵するのも束の間、
「絵菜!?」
ガツンッ!「ぐふッ!?」
目覚めた途端物凄い勢いで起き上がった彼女の速度に対応しきれず、彼女の頭が僕の顎にクリーンヒットした。
「って、あぁっ!?誰だか知らないけどごめんなさい!!」
「…あー、う、うん…こっちこそごめん…」
なんとか堪え、愛想笑いで誤魔化す。…いや、なんで僕だけ大ダメージ受けてんの?彼女普通になんともなさそうなんだけど、どういうメカニズム?
っていいや、そんなことより。
「あのさ、今君絵菜って言ったよね?不躾で悪いんだけど、もしかして彼女の友達の舞さんかな?」
「えっ!は、はい、そうです!あなたは…?」
「僕も彼女の友人なんだ。って言っても、すぐには信じられないかもしれないけど…」
うーん、どうしよう。怪しまれたら協力してもらえないだろうし。
「…あ、ひょっとして」
「?」
「絵菜から聞いたんです、最近こっちで仲良くなった人たちがいるって。まさか男の人だとは…!」
まじまじと見つめられて変な気持ちになる。なんだろ、けっこう変わった子だな…じゃなくて!
「えーっと、その…僕絵菜ちゃんを探してるんだけど、何か心当たりとか
「そう、絵菜!どうしよう、私もしかしてあいつに騙されたのかな…だ、だとしたら今頃とんでもないことに…!」
…ああ、ちょっと扱いがめんどくさいタイプだな、この子。
「お、落ち着いて。とにかく、何があったのか順を追って話してくれないかな?」