第10章 衝動【カラ松、チョロ松】
僕は一度大きく深呼吸をして、震える指先で文字を打ち込む。
『大丈夫だよ、絵菜ちゃん。助けに行くから、今どこにいるのか分かったら教えて』
返事を待つ。約1分後、
『車に乗せられてるの。景色を見てもよく分からない。見慣れないから、郊外でも赤塚区でもない場所。自宅に向かってるらしいけど、それ以上教えてくれない』
「車…?奴の運転か!」
「まずい、かなり遠くに行ってる可能性が高い!」
『車に乗る前、どこにいたの?そいつと会ったのは?友達はどうしたの?』
『赤塚公園。舞はどうしたのか分からない。気絶させられたから車に乗るまでの記憶がないの。もしかしたらまだ公園にいるかもしれない』
『分かった。もしまた何か分かったことがあれば知らせて』
そこまでやり取りをして、息をつく。…大変なことになってしまった。
彼女の様子からして、まだ酷いことはされてないみたいだけど…とにかく、急がないと。
「チョロ松、ここは二手に分かれないか?」
「え?」
あまりにも唐突なカラ松の提案に僕は思わず間抜けな声を出してしまう。
「チョロ松は先に公園に向かってくれ。彼女の友人…舞という子がまだいるかもしれない。友人ならばある程度事情も知っているだろうし、男の自宅とやらにも心当たりがあるかもしれないからな」
「それはいいけど、カラ松はどうするの?」
「俺はデカパン博士のところに行ってくる。公共の交通機関を使っていたら時間がかかってしまうからな」
なるほど…あの天才デカパン博士なら、いろいろチート級な移動手段を用意してくれそうだな。
「じゃあ準備ができたら公園で落ち合おう!」
「分かった!」
絵菜ちゃん、絶対に助けるから…もう少しだけ待ってて!