第10章 衝動【カラ松、チョロ松】
【絵菜side】
トド松くんにMINEの返信をして、私はスマホを鞄にしまう。
そうだよね、いくら舞と二人でいるっていっても、外出している以上気は抜けない。
レストランを出てから、ショッピングモールをぶらついていた私たちだけれど、今はあの赤塚公園に来ていた。
ベンチに座っている私から少し離れて、スマホで電話をしている舞。
「会わせたい人がいる」って舞は言ってたけど、一体誰なんだろう?舞の彼氏かな?最後に会った時はフリーだったし。
もしかして彼氏どころか、婚約者だったり?ありえるかも、わざわざ東京に来てまで私に紹介してくれるんだもん。もしそうだったら祝福しなきゃね。
そわそわしていると、電話を終えたらしい舞がこちらに走ってきた。
「お待たせー!なんかもう近くに来てるらしくて、あと5分くらいで着くって!」
「そうなんだ。ねぇ、誰なの?」
「ふふふー、秘密!」
「えー」
一応むくれてみせるけど、舞は変わらず笑顔のままで教えてくれようとしない。
仕方ない、会ってからのお楽しみか。
「そういえば絵菜、さっきスマホいじってる時にやついてたけど、あれなんだったの?」
「え?!」
う、嘘、MINEの時かな?
「にやついてなんてないよ!」
「そー?私にはなんか幸せそうに見えたけどなぁ」
「し、幸せ…」
確かに、6つ子のみんなと関わってる時は自然と笑顔になれるっていうか…そういう意味では幸せかもしれないけど。
にやついてるって言い方はどうにかならないものか…せめて微笑んでいたとか…
「あ!来た来た!おーいっ!」
舞が手を振る方を見やると、一人の男性が同じく手を振りながらこちらに向かってきた。
私は立ち上がってお辞儀をしようとして…止まる。
「…う、そ…」
なんで。
「感動の再会だよ、絵菜!サプライズ大成功って感じ?」
舞が私の肩を抱いてくる。これじゃ逃げられない。
…迫ってくる。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。
「絵菜、ひっさしぶりー。…でもないか。元気だった?」